シネ・リーブル神戸で『Ryuichi Sakamoto | opus』を鑑賞。『odessa』を体験するためにこの映画館を選んだのだが、残念ながら音のよさはわからなかった。109シネマズ大阪エキスポシティの『SAION』は音がよいと感じたので、こちらにも期待していた。
いくらハイスペックな音響設備を導入しても、シアターの空間がよくなければ性能を発揮できないのだろうか。『SAION』のシアターはきれいなかたちをしていたが、『odessa』のシアターは平面が五角形で、柱が1本飛び出し天井も高くなかった。
シートは見たことのないタイプだった。リクライニング機能が備わっていたが、ストッパーがついていないので、姿勢を少しでも変えると倒れた。張地は織物でなく合皮のようなテクスチャ―なので、動けばキュッと音がした。アクション映画であれば気にならなかったかもしれないが、静かな作品なので気になった。独立した肘掛けや、広いシート間隔はよかった。
シートのメーカーはスペインのフィゲラス社だそうだ。映画館のウェブサイトで紹介されていた。系列館『新所沢レッツシネパーク』で好評を博したそうだが、本当だろうか。
次に訪れたのはフェリシモチョコレートミュージアム。junaidaさんの絵本『ひと粒のチョコレートに』(福音館書店 2023)と、絵本『ともしび』(サンリード 2024)の原画展が行われているそうで、市立伊丹ミュージアムで特別優待券をいただいていた。
ミュージアムはフェリシモ本社ビルの2階にあった。セルフレジで800円を支払い、受付で注意事項の説明を受け中へ入ると、暗がりの中チョコレートの香りが漂っていた。
空隙クッション素材に包まれたアクリル板の容器に、カカオ豆の種皮を満たしたインスタレーションだそうだ。”ピラミッドの内部のツタンカーメンの眠る、霊安室のような、宇宙へのつながりを感じる、神秘性のある空間となっております”──容器をつくったアーティストのコメント。
このミュージアムは展示区画ごとに名前がつけられていて、この区画は『prelude』。
次の区画は『creative walk』。コレクションのパッケージを展示する区画だそうで、現在はイタリアのカファレルに関する展示が行われていた。展示内容は定期的に変わるようだ。
他に人がいなかったので左右にジグザグ進んだが、混んでいるときは展示ケースに沿って一方通行となるだろうから、次へ進むためには1.5往復しなければならないだろう。
この施設はプランや動線に難があるようだった。エントランスホールではチケットカウンターが入口から最も遠い場所にあり、ミュージアムショップの平台の横を通らなければならなかった。チケットを購入すると反対側の受付で注意事項の説明を受けたが、その受付は入口を入ってすぐの場所にある。混雑時に備えた配置なのかもしれないが、他に案はなかったのだろうか。
次の区画は『art square』。絵本『ひと粒のチョコレートに』の展示が行われていた。
撮影は全体のみで、アップは不可とのことだった。文章がついていたからだろうか。
絵本の原画の展示では、文章のついた絵本でもその文章は省略されていることが多いが、この展示では絵本と同じ位置に文章がついていた。額のカバーの内側に透明な板を仕込み、その板に文章を貼ってあるようなのだが、スポットライトのせいで文字に影ができていた。まさに影文字の状態なのだが、文字も影も黒なので読みづらく、途中で読むのをやめてしまった。
次の区画『imagination picnic』には、図書コーナーや板チョコの撮影スポットがあった。
次の区画は『symphonic forest』。壁4面とも床から天井まで収納が造りつけられ、国内外のチョコレートのパッケージが収められていた。ショコラティエやチョコレート関係者、一般からの寄贈によるもので、その数12,000点以上にも及ぶそうだ。
収蔵庫の可視化というコンセプトは面白く、見ごたえのある区画ではあったが、保護のためなのか照度が低く、目の悪い私は十分に楽しむことができなかった。
次の区画は『island gallery』。絵本『ともしび』の展示が行われていた。
インテリアに茶色が多いのはチョコレートミュージアムだからだろう。それが図らずも落ち着いた上品な雰囲気をつくっていたが、メッシュ天井は似合わしくなかった。ミュージアムはあとからつくられたようなので、いかなるプランにも対応できるようにとの設えだろうか。
ビルの設計は石本建築事務所、デザインアーキテクト&インテリアはEight Inc.だそうだ。後者はアメリカの会社で、アップルストアの多くを手掛けているようだ。
カーペットはこの展示のために設えられたようだが、グレーの壁もだろうか。モノクロの原画が引き立っていた。原画はサイズが小さいので見えづらく、文章は端から読まなかった。
文章を読めないことが面白くないので絵本を購入したが、見事術中に陥ったか。
フェリシモビルの向かいに建つ神戸ポートミュージアム。junaidaさんの絵本『世界』のカバーに描かれている王冠のようにも見えるが、六甲の地形の成り立ちを表しているそうだ。
ウォータージェット仕上げの外壁の色が帯状に異なっているのは、六甲山と瀬戸内に浮かぶ西島の2か所で採取した骨材が使用されているからだそうで、山と海を表しているそうだ。
オーシャンビューホテル新旧。手前は『神戸みなと温泉蓮』(2015)、奥は『神戸メリケンパークオリエンタルホテル』(1995)。時代や社会、経済は異なるが、後者には思想が感じられる。
屋内スキー場のようなこちらは『GLION ARENA KOBE』だそうだ。GLION(ジーライオン)に覚えがあった。築港赤レンガ倉庫でクラシックカーの展示やステーキ店を営む会社だった。