急がない人生で見つけた13のこと

写真家ソール・ライターさんのドキュメンタリー。昨年劇場で鑑賞し、彼の生き方に惹かれた。のちに『Early Color』を購入し、彼の写真にすっかり魅了された。写真集が発売されたのは83歳のとき。しかもはじめての写真集。
遅咲きということではなかった。若いころはファッション写真家として第一線で活躍した。でもそれは、彼にすれば生計を立てるための仕事。60歳を前に表舞台から身を引いた。
ファッション写真と並行しスナップを撮り続けた。対象は住まいのあるイーストヴィレッジ。散歩のついでにカメラを携え、日常で見逃されている瞬間を切り取った。「雨粒に包まれた窓の方が、私にとっては有名人の写真より面白い」とは彼のセリフだが、地位や名声には関心がなく、ささやかな日々の暮らしのほうが大切だった。
でも彼にだって仕事を認めてほしい気持ちはあっただろう。70歳を過ぎたころ、撮りためたスナップをはじめてプリントし、マンハッタンのギャラリーで展示する機会を得た。現在アシスタントとして働くマーギット・アーブさんは、そのときギャラリーで働いていた。彼の作品や人柄に惹かれたのだろう、写真集を出版すべく奔走し、そうしてできたのが『Early Color』。「幸せの秘訣は何も起こらないことだ」と言っているが、大好きなマーギット・アーブさんのおかげで再び表舞台に立ったことは、きっとまんざらでもないと思っているのではないか。

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