掲げて 転んで

YouTubeでオフコース『思いのままに』のドラムカヴァーを観ると、おすすめ欄に見覚えのあるサムネイル。くるりと小田さんが並んで歌っている。くるり主催の『京都音楽博覧会 2007』で、くるりと小田さんが『ばらの花』を共演しているときの一コマ。このライブテイクはくるり『さよならリグレット』に収録されていて、YouTubeのコンテンツはその音源だった。
久しぶりに聴いたが、出だしから涙が溢れて止まらなかった。驚いた。繰り返し何度も聴いているが、泣いたことは一度もない。なぜだろう。コロナで鬱々としているせいだろうか。
でもこのライブテイクは、はじめて聴いたときからたしかに涙腺を刺激した。感じ入る要素がいくつもある。小田さんの歌声、岸田さんの歌声、二人のハーモニー、雨の気配、観客の拍手やざわめき、小田さんのコーラスワーク、佐橋さんのエレキギター。
小田さんのコーラスワークは、キーの高低を歌い分けるだけでなく、詞を間引いたり、別の部分の詞を当てたりする。自在コーラスと勝手に呼んでいるが、むかし矢井田瞳さんと共演した『恋バス』を聴いたときに、こんなコーラスもあるのだと感心した。
佐橋さんのギターソロからのラストパートは感情があふれる。二人の見事なハーモニーと佐橋さんの冴えわたるギター。最後の自在コーラスはこのテイクのクライマックス。
この記事のタイトルは自在コーラスの中で一番好きな部分。小田さんの歌い方がいい。