柚木沙弥郎との時間

染色家・柚木沙弥郎さんは現在98歳。まだまだ現役。バリバリ仕事をされている。
今年は展覧会がいくつも催されたり、ほぼ日手帳2021のカバーを描き起こされたりしたが、最も印象的だった仕事はエースホテル京都だろう。ロゴやサインや装飾品を手掛けられた。携わることになったきっかけは、ホテルの内装設計会社へロゴを送って売り込んだからだそうだ。もともとその会社のファンだったそうだが、それにしてもバイタリティの高さに驚嘆する。
本著の説明は、冒頭に書かれた柚木さんの素敵な文章をそのまま引用させていただく。

明日は今日となり、今日は昨日となる。時は足もとからみるみる流れ去って行くものです。そんな時を私と共有し、木寺さんが彼のライフワークとして、2012年頃から現在まで私のその時の今を撮り溜め、更に私の足跡まで追体験した膨大な作品を、このたびアルバムとして凝縮し発表することになりました。私と木寺さんの時間がどのように浮かび上がるか、大いに楽しみにしています。

写真家・木寺紀雄さんが撮影した写真はどれも優しく温かい。柚木さんへの愛に溢れているように見える。柚木さんもまた、木寺さんへすっかり心を許しているように見える。
最後のページのピースサインにグッときた。お顔は写っていないが、きっとニンマリ顔で、「まだまだやるよ」とおっしゃっているに違いない。