一昨日観られなかった別のピナさんの映画『ピナ・バウシュ~夢の教室』
『pina』にも登場した演目『コンタクトホーフ』のレッスン風景を撮影したドキュメンタリーだが、登場するダンサーはピナさんの舞踊団の方たちではなく、ダンス経験のない少年少女。
大丈夫だろうか。ピナさんのダンスは愛や絶望や喜びや孤独を全身全霊で表現する。しかもこの演目はコンタクトがテーマなので、男女がいろんなシーンでさまざまに接触する。中には目をつむりたくなるようなものも。それを年端もいかない現代の子供に演じられるだろうか。
でも子供たちはやってのけた。10カ月にわたる舞踊団OBによる献身的な指導と、忙しい合間を縫ってやってくるピナさんの愛情をたっぷり受けたおかげで、はじめはとまどい不安を見せていた子供たちの目が、最後にはいっぱいの光を蓄えてキラキラ輝いていた。こんな授業を受けることができて、なんて幸せな子供たちなんだろうと目を潤ませた。
この作品のあとピナさんは亡くなった。いまとなっては彼女のダンスを観ることは叶わないが、彼女の創作はこうしてかたちを変えながら受け継がれてゆくのだろう。そう想えば淋しくないが、でもやはり一度でいいから彼女の『カフェ・ミュラー』を観てみたかった。