踏んだり蹴ったり

朝届いたお袋からのメールに悶々とし、居た堪れなくなったので、いつ行こうか決めかねていた『柳宗悦と丹波の古陶』を観に兵庫陶芸美術館を訪ね、帰りに梅田でピナさんの別の映画を観ることに決め、急いで逃避行の支度をした。
会場が田舎の場合は先に列車やバスの時間を調べるのだが、すぐに部屋を出たかったので怠った。おかげで、相野駅に着いてバスの時刻表を見ると、次のバスは1時間後。映画の予定がなければのんびり待つところだが、仕方がないのでタクシーに乗った。
会場へ着くと、帰りは必ずバスに乗ろうと時刻表を見て唖然とした。映画に間に合う列車に間に合うバスがない。なんという田舎。施設もやる気がないのか。気分を晴らそうと来たのにすっかり曇ってしまい、作品を観る目は焦点が合わず。亡霊のように会場をさまよった。
こうなれば映画で挽回とタクシーで駅へ戻り、ぎりぎり列車に乗ると安心したのか睡魔に襲われた。目が覚めればどこかの駅に停車中。「架線に障害物が引っかかっているので待機中。ダイヤ調整のためこれより先は快速を各停に変更する」と車掌。まだ先は長いのだ。間に合うのかと時刻表アプリで時間を調べると、なんとか間に合いそうでひと安心。
でも甘かった。本数が間引かれたので各駅お客さんでごった返し、乗車に時間がかかって出発が遅れた。それが重なったものだから、大阪駅へ着くとすでに映画がはじまっていた。悲しみに暮れて家へ帰ると、電気ストーブが煌々と灯っていて泣けた。
毎朝運勢を見ているが、今日はまだ見ていなかった。「形やプライドにこだわり過ぎると失敗を招きそう」朝のメールのことかと苦笑した。