大和文華館

名品が多数所蔵されていると知り、ちょうど耐震改修を終えてリニューアルオープンするというので出かけたら、設計は吉田五十八さんだとおっしゃるので驚いた。
どうりで配置がすばらしかった。林のなかを緩やかに上るアプローチ。右にカーブし、さらに上ると建物が見えてくる。ファサードの要であるなまこ壁は、瓦ではなく青緑のモザイクタイル。なぜなまこ壁なのかわからないが、伝統的な意匠がモダンへと昇華している。
このなまこ壁はすべての壁を巡っているが、近づくとタイルがなく穴があいているところがあり、その奥に建具が嵌っている。ダブルスキンになっていて、採光や換気をとっている。なまこ壁を途切らせず通すためのディテール。感服した。
展示室は内装を一新したそうで、中央の坪庭からの明かりがうっすら室内を照らし、この庭を囲うように作品が展示されていた。はじめて観た国宝の『寝覚物語絵巻』や『婦女遊楽図屏風』、尾形光琳の『扇面貼交手筥』などが印象的だった。
駐車場脇に建つ木造建築に違和感を覚えていたが、辰野金吾が設計した奈良ホテルの一部が移築されたものだそうだ。ただの木造建築でないと思っていた。