EXPO’70と大阪日本民芸館

大阪日本民芸館へ長く通っているが、今日ほどたくさんの人がいたことはなかった。春季の展示が終わるこの連休に、例のキャンペーンを利用して万博好きが集まったのだろうか。
というのも、今季の展覧会は『民藝の力-パビリオン「日本民藝館」とEXPO’70-』大阪日本民芸館は、もともと『日本民藝館』として大阪万博のパヴィリオンとして建てられたが、万博終了後も、恒久施設として太陽の塔や鉄鋼館とともに残されている希少な施設。
展覧会では万博当時の展示を再現していたが、50年経ったいまでもまったく色褪せておらず、これが民藝なのだとあらためて思った。贔屓の車箪笥や濱田庄司さんの大皿、芹沢銈介さんの丸紋いろは六曲屏風、紅型の着物やアイヌの衣装など、魅力的な作品が多数展示されていた。

雨が止んだので中庭へ出て、そのまま裏口から退館した。はじめて裏口を利用したが、建物の裏にこんなに緑が植えられているとは知らなかった。万博の時に植えられたのであろう樹木は立派に生長し、管理の行き届いた芝生がとても美しい。民芸館の黒い外壁が緑に溶けている。
ショップで購入した雑誌『民藝』に書いていたが、外壁の黒は日本橋のスルガビルを見て決めたそうだ。Googleストリートビューで確認するとたしかに真っ黒。窓周りの折りの造形がリズミカルで凛々しいが、どこか民芸館の窓に似ている。プレーンな白い外壁に、窓周りの黒い骨太な意匠がどこか民藝を彷彿とさせて好きな部分だった。建物にダイナミックさを求めた濱田庄司さんは、もしかするとスルガビルの窓を気に入ったのかもしれない。
帰りにタワーレコードへ寄り、バルトークの弦楽四重奏曲全集とスティーブ・ライヒのBlu-rayを入手。YouTubeで見かけたRosasというカンパニーのダンスに、バルトークの弦楽四重奏曲やスティーブ・ライヒの楽曲が使われたダンスがあり、どれもとても魅力的だった。バルトークの弦楽四重奏曲ははじめて知った。クラシックの道のりは未だ遥かに長い。