電極

iPhone付属のACアダプター。この1週間はPCにUSBケーブルをつないで充電していたが、はじめてこれを使って充電しようと、コンセントへ挿してみたが反応しない。残量20%のレッドゾーンに冷や汗をかきながら、safariでAppleサイトなどを調べるも、有効な情報は得られない。泣きそうになりながらプラグを左右逆に挿してみると、あら不思議充電が始まった。
コンセントの二つの穴は、一方は電気が行くほうで、一方は帰るほうだということは知っている。だからAV機器などは向きを正しく挿さなければ、画質や音質に影響を与えるそうだ。でも逆に挿しても使えることも知っている。だからいままで気にしたことはなかった。
iPhoneはそんなに電気にシビアなのだろうか。それともたまたまだったのだろうか。

iPhone

au使いは蚊帳の外。いくら魅力的でもキャリアが変わることに抵抗がある。MNPを行使すれば番号は変わらないが、メールアドレスは変わってしまう。貯まったauポイントが消滅するのも悲しいし、そもそもsoftbankが好きではなかった。でもすべてを受け入れ乗り換えた。
ずっと思っている。日本の携帯電話の世界は馬鹿げている。着メロや着うたやワンセグなど、作り手は心血を注ぎ、多くのユーザーは嬉々としている。機能や意匠は大して変わらないのに、春夏秋冬新モデルを投入する。そんな世界にうんざりし、一線を引きたいと思っていた。
iPhoneに惹かれるのはAppleの思考にブレがないから。それはPCの世界だとIBMのようなもの。メーカー名は変わってしまったが、ThinkPadは変わらない。だから迷うことなくThinkPadを使い続ける。本質だけを設えていればほかに何もいらない。
でも日本人はそれでは物足りない。機能でも意匠でもファンシーを求める。このごろはようやく目が覚めて、正しい方角へ舵を切りなおした向きも見られるが、でもそれらの多くは勘違いだったり、やりすぎの感が否めない。染みついた文化や慣習を拭うには、それ相応の時間が必要だろう。だからそれまではこれを使うことにする。

西川美和さん

カバーに惹かれて手にとれば、帯には白衣を着た笑福亭鶴瓶。そういえば、医者の役で映画に出演したと言っていた。でも役者の鶴瓶さんは知らないので、まったく気に留めなかった。
その映画の監督が書いた小説ということで、読んでみればなかなか面白い。描かれる人物や世界がとても濃密で深い。リアルすぎる現実。だから時々居心地が悪くなる。読み終えたあとに気だるさが残る。でもそれがなんだか心地よい。しんどいけど心地よい。しんどよい。
だから映画も見てみた。嘘についてあらかじめ告知しているし、物語の中でもかんたんに種明かしをする。じつにあっけらかんとしている。でもそれはうわべ。ずっと奥深い部分に彼女の真意がある。それが現実的に描かれるものだから、これが見ていてしんどい。それでも鶴瓶さんらしからぬ役作りに感心したり、艶やかな八千草薫さんにゾクッとしたり、余貴美子さんのあいかわらず巧みな演技にうなったりした。
すっかり監督の虜となり、続けて『蛇イチゴ』と『ゆれる』を借りて見たが、デビュー作からすっかり出来上がっていて驚いた。人間を観察し、物語にまとめ、自らメガホンを取る。すべて一人で担うから強い。次回作が待ち遠しくなる監督。

青色防犯灯

沈静効果があり、踏切や街路灯に設置すれば、飛び込みや犯罪の抑止になるとあちこちで実験や検証が行われたが、いまではまったく話題にのぼらない。本家グラスゴーでは、照明を白色へ戻し、代わりに防犯カメラを増設しているとか。私もすっかり忘れていたが、いま携わっている施設の駐車場に、青色防犯灯を設置せよとの命を受けたので、いまさらながら調べることに。
まず器具のことを知ろうとメーカーに問い合わせたが、「効果について検証行ったが、大した結果は得られなかった。だから弊社ではもう開発していない」他のメーカーも同様だった。
実験や検証を行った地域の報告書も読んでみた。たしかにある種の犯罪は減少したが、別の種類の犯罪が増加したそうだ。住民へのアンケートで一番多かった不満は暗いこと。画像を見ても明らかだが、具体的な数値でいうと、20Wの蛍光灯では、明るさが白色より1/3になってしまうとか。グラスゴーで青色をやめてしまったのは、暗くて犯罪者の顔がわからなかったからだとか。
そもそもグラスゴーで青色に代えたのは景観のためで、街が美しければ犯罪も減るだろうと考えてのこと。また、麻薬を注射するときに照明が青いと、静脈の青と重なって見え辛くなり、その気が失せるのではないかと。いすれもネット情報なので、真偽は定かではないが。

ミッキーがいなくても

『伊藤公象展』を観に東京都現代美術館へ行ったのだが、同時開催している『メアリー・ブレア展』も面白そうだった。迷っているのを察したのか、チケット売り場のお姉さんが「両方観れば伊藤公象展が半額です」と満面の笑みで言うので、どちらも観ることにした。
ディズニーランドへ行ったことがないし、ディズニー映画もほぼ見ていないので、展示が楽しめるだろうかと心配したが、まったくの取り越し苦労だった。彼女が生きたのは半世紀も前で、『ピーターパン』『シンデレラ』『不思議の国のアリス』など小さいころに観たものばかり。『あおいくるま』『ちいさな家』などすっかり忘れていて、目を細めながら懐かしんだ。
終盤に展示していた『イッツ・ア・スモールワールド』このようなアトラクションがあることを知らなかったが、『世界はひとつ』と同じではないのか。
宝塚ファミリーランドの『世界はひとつ』は大好きなアトラクションだった。世界中の人々が踊るところや、さまざまな名所や催事を観て喜んでいたことを思い出す。
音楽もよく似ている。いまでもメロディを覚えている。「みーなさんおいでーなーさい よーこそおいでーなーさい(中略)せかいはひっとつー ラララーラーラーラーラー」

雨を慈しむ

梅雨は好きではないが、この季節にしか見ることができないものがある。
雨降るなかでこの花を見ていると、鬱陶しい気持ちがどこかへ消えてしまう。濃い緑の葉に浮かぶ花は小さく可憐で、まるで雨を慈しむかのように咲いている。
東京へ来て驚いたことのひとつはアジサイの数。歩道の植込にまで植えられている。大阪ではこんなに目にしない。伊豆が原産地だそうなので、こちらのほうが数が多いのだろうか。
さらに驚いたのが画像のアジサイ。おそらくはじめて目にする。ガクアジサイというそうだが、じつはこのかたちがアジサイの原種で、ふだんよく目にする西洋アジサイは改良種だそうだ。
ちなみに、丸が小さいヒメアジサイは、かの牧野富太郎さんが改良したとか。きっと牧野植物園にはたくさん植わっていて、ちょうどいまごろは見ごろなのだろうか。