春うらら

よい天気だった。空は雲ひとつなく晴れ渡り、風はなく汗ばむほどの陽気。花粉症がつらくなければ満点だったが、よいものを観たので文句は言うまい。
美術展をはしごした。午前中は梅田大丸ミュージアムで『グランマ・モーゼス』展。季節ごとに並べられた作品はどれも色使いが鮮やかで、見ていて楽しかった。人物は抽象的に描かれているが、風景は細かく描かれていた。切り抜きを見ながら描いたので、写実的になっているのだろう。四季の中では冬がよかった。真っ白な画面の中に、常緑樹の緑や、色とりどりの服を着た人たちが描かれていて、いのちの温もりが伝わってきた。
午後は京都国立近代美術館で『河井寛次郎』展。寛次郎さんは生涯で何点の作品を作ったのだろう。はじめて見る作品が多くあった。展示点数は270点。至福の時間だった。
陶磁器試験場の時代、柳宗悦さんらと過ごした民藝の時代、そして万事から開放され己の造形に邁進した時代。どの時代の作品も好きだが、最後の時代は自由闊達でいきいきとしている。

春歌

CMで聞いて、耳から離れなくなったYUKIの『JOY』
すべて聴きたくてCDを借りに行ったら貸出中。すぐにでも聴きたいがCDを買うほどでもない。だからはじめてインターネットからダウンロード購入した。1曲210円なり。
とてもよい曲だった。ポップだが切ない調子が、春を迎えるいまにぴったりだと思う。「いつか動かなくなるときまで遊んでね」「しゃくしゃく余裕で暮らしたい」「死ぬまでドキドキワクワクしたいわ」詞も彼女らしい。いま仕事が忙しいので、この曲を聴いて乗り切りたい。
先日テレビでこの曲を歌っていた。歳を重ね、結婚をし、お子さんを授かり、音楽も生活も気持ちもずいぶん変わったと話していた。それなのに、そのお子さんが亡くなったと今日のニュースで伝えていた。まだ2歳にも満たなかったそうだ。彼女の気持ちを思いながらこの曲を聴くと切なくなるが、どうか乗り越えてほしいと思う。

住み心地

新宿のリビングデザインセンターOZONEで、『日本人と住まい―住み心地はどうですか?』展が開催されている。OZONEができて10年だそうだ。できてすぐのころ、日本初上陸のTHE CONRAN SHOPを訪れたのが懐かしい。この展覧会も興味があるが、そう簡単には行けないので、展覧会に併せて出版された本を購入した。
住み心地のよい家として7つのキーワードを挙げて、野沢正光さん、中村好文さん、村松伸さん、三谷龍二さんらが文章を寄せている。
章の間にはいろいろな写真が掲載されているが、空間の心地よさだけではなく、住み手が時間をかけて施すしつらえのほうがもっと大切だと書いている。たとえば、無垢の木のテーブルを、手を入れながらつきあっていく。その堆積が暮らしをかたち作っていくのだと。
以下はあとがきに書かれたメイ・サートンの言葉。

使い古された快適な椅子が一つもないような家には魂がない。私たちに求められているのは完璧ではなくて、人間的であることだという事実に、すべて煮つめられる。(中略)私たちは万事を統制しようとし過ぎていることになるだろうか?たとえば植物は室内を人間的にさせるが、それは統制できないものだからだ。人間の必要とするものに真の避難と養育の場を与えるためには、家は見せびらかす必要はない、ただ住み込めばよい。そしてそれには、生活を強化させるための能率がさほど重要なわけではない。テーブルに座った猫とか、花の咲いた球根の鉢、あるいは散らばった本でよい。

住み心地はどうですか?

あたりまえのこと

OTS(大阪トランスポートシステム)線の通行料がこの夏から撤廃されるそうだ。
OTS線は、大阪港と中ふ頭を結ぶ路線として1997年に開業。本町や梅田へ行くのに住之江公園経由より早いのだが、第3セクターなので、この区間を通るだけで230円かかっていた。
乗客数が伸びないので撤廃したそうだが、そんなのあたりまえ。はじめからわかっている。
海中トンネルなどに工事費がかかったのかもしれないが、それをすぐに取り戻そうなどと考えてはいけない。もっと長期的視野に立たなければ。このまちの未来を案じなければ。

NZ

二ュージーランドに住む友人夫婦が、『KOHI RETRO+VINTAGE』というネットショップを開いた。海辺の町コヒマラマからお届けするからKOHIだそうだが、なんだかのどかで穏やかな風が吹いていそうな響き。イギリスのPOOLEやファイヤーキングなどを扱っているそうだが、趣味が高じてできた店なので、変わった品が登場するかもしれない。
ニュージーランドといえば、現在発売中のソトコトが特集を組んでいる。移住計画第5弾ということで、様々な移住者たちをピックアップしてインタビューしている。
今夜『トリビアの泉』に大橋巨泉さんが出ていたが、友人夫婦は巨泉さんとご近所さんだそうで、嫁のブログに3人仲よく並んだ写真が載っている。
彼女が向こうへ行ってニュージーランドを知るようになったが、風光明媚で素朴で、のどかでとても過ごしやすい国とお見受けする。巨泉さんが移り住んだのもうなずける。

The Way Up

今日は一日仕事。自営なので曜日など関係ないが、それでも週末にする仕事はどうにも憂鬱。
そんなときはやる気を起こす音楽が必要。というわけでPat Metheny Groupの新譜を聴いた。
全1曲・4パート・68分10秒のコンセプチュアルなアルバム。パットいわく「現代社会へのプロテスト・ミュージック」だそうだが、私は宇宙を感じずにおれない。