東京タワー

リリー・フランキーさんの映画を観た。彼のことはよく知らないし、原作も読んでいない。
なぜ観たのだろう。予告編で見た夜の東京タワーが美しかったからだろうか。先日東京ミッドタウンの庭から見た東京タワーがとてもきれいだったので、それが頭に残っていたのだろうか。
東京タワーはあちこちから見えるが、新幹線から見る東京タワーは一味違う。仕事を終えて夕闇せまるころ、大阪へ戻る車窓から見る東京タワーだ。
新橋を過ぎたあたり、高層ビルに遮られていた視界が開け、雑居ビルの頭上に現れる。完全な闇に包まれる前の、ぼんやりと浮かぶ東京タワー。安堵と少しの哀愁を帯び、ビール片手に片肘つきながら眺める。徐々に加速する新幹線の、コトンコトンと鳴る車輪の音をBGMに。
映画はとてもよかった。樹木希林と内田也哉子親子が演じるオカンが素敵だった。
観た人が口々に語っているが、私も自分の親のことを思った。ふたりとも健在で、先は長いと思っているが、いつ別れのときが来るかと思うと堪らない。こんなことを考える歳になった。