えたいの知れない緑の空間

昨日書店で『奇跡の団地 阿佐ヶ谷住宅』を購入した。前川事務所が設計したテラスハウスが有名な団地だが、奇跡の団地とはどういうことだろうと興味を覚えた。
今日は予定がなく、取り壊しの危機にあると聞いていたので、観ておかねばと訪れた。

丸の内線南阿佐ヶ谷駅から徒歩10分。5haの敷地に全350戸。とてもゆったりとしている。
住棟は2階建てのテラスハウスと、3~4階建ての中層住宅からなっていて、住棟をつなぐ公道は緩やかな弧を描き、中央には大きな広場がある。様々なイベントが催されたことだろう。
住棟間のコモンスペースは表層のほとんどが土で、様々な植物が植えられている。冬だったので葉は落ちて花も咲いていなかったが、春から秋の景色はすばらしいことだろう。
住人の多くは退去が済んでいて、窓には板が打ちつけられていたが、入居がはじまった1958年からの50年は、さぞかし素敵なまちだったろう。

公道沿いには低木が植えられ、緩やかな境界を形成している。桜の木がたくさん植えられていたので、春はさぞかしきれいだろう。

前川事務所設計のテラスハウスはCB造。飛び出た2階の梁が意匠的。住戸番号はモザイクタイルでできていた。設計を担当したのは、のちに坂出人工土地で名を馳せる大高正人さん。

同じく前川事務所設計のテラスハウスだが、1階に庇がついている。1階を増築した棟もあったので、この庇もあとから住人がつけたのだろう。

コモンスペースのあちこちに遊具があり、かつては子供たちがいっぱい遊んだに違いない。

住棟をゆったり配置し、コモンスペースが広くとられている。マスタープランを行った日本公団の津端修一さんは、『えたいの知れない緑の空間』と呼んだそうだ。

こちらのテラスハウスは日本公団の設計。広いコモンスペースに緑が豊か。

見学の帰り、隣接する駐車場に停まっていたCitroën CX Prestige。阿佐ヶ谷住宅を愛する洒落人の車だろうかと思ったが、ナンバープレートがついていなかった。寂しさがさらに募った。

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