毎月1日に映画を観にいくようになった。もちろん映画の日で安いからなのだが、あまりカレンダー通りに暮らしていないので、新しい月がはじまる日に日付を確認しようとはじめた。
むかし設計を手伝った映画館へ行く。声を大にできないが、空いているのでゆっくりできる。
本日は『マザーウォーター』監督は松本佳奈さん。『めがね』や『プール』でメイキングを担当し、今回が初監督。じつは観ようかどうしようか迷った。またかという気持ち。萩上監督は『トイレット』で新境地へ向かったのに、いまだとどまっているのではないかという気持ち。でも劇場で飯島さんプロデュースのクッキーが提供されていると知り、重い腰を持ち上げた。
オリジナル脚本だそうだが、あまりに淡泊だった。ドラマがなくても、毎日を慎ましく誠実に生きている人々を描こう。そう思って書いたのかもしれないが、物語が希薄だった。『かもめ食堂』『めがね』『プール』も日々の暮らしを淡々と描いていたが、そこには物語があった。小説などもそうだが、物語がないと引き込まれない。だから『ポプラ』に頼ってしまう。
これは『ポプラ』の映画だろう。冒頭の鴨川のシーンで『ポプラ』の横にいた女性。てっきり3人のうちの誰かだと思っていた。てっきり『オトメ』の子供だと思っていた。ところがあのラスト。まんまと騙された。でもなんだか機嫌がよかった。『マコト』の台詞どおりだ。いやいや、こんなことで納得してはいけない。結局クッキーも食べられなかった。
でもセツコの入れる水割りがえらく美味そうだったし、鴨川の椅子が素敵だった。エンドロールで流れる大貫妙子の歌もよかったのでよしとしよう。