遠くにヘリの音が聞こえている。時間が経つにつれ台数が増えていった。
園田にある出向先の事務所。外出していた事務所の方が、戻るなり「近くでJRが大変なことになっている」と言った。帰宅してテレビを点けると、列車がマンションに激突し、大破していた。何だこれは。阪神・淡路大震災のときと同じだ。自分は何を見ているのだと茫然となった。
遺族の方がインタビューに答えていた。「JR西日本や運転手を責めるのは簡単だ。でもこうなった根幹は現在の緩んだ社会にある」家族を失い、悲しみの底にいるはずなのに、怒りをぶちまけるわけでなく、静かに毅然とした態度で答えていた。
どうしてこんなことが起こるのだろう。人間はいつの時代でも愚かしい。それが人間というものなのだろう。宿命なのかもしれない。でもだからといって、回し車を回るマウスのように、同じところを永久に回り続けるしかないのか。少しでも高みにのぼることはできないのか。