朝光寺

加東市にある朝光寺を訪れた。兵庫県下の国宝建造物で唯一拝観できていなかった。他の国宝建造物は矢継ぎ早に拝観したが、ここだけ間が空いたのには理由があった。地図アプリが自宅からのルートを案内してくれなかったので、公共交通機関がないのだろうと断念していた。
あるとき、ルート検索ではなくウェブ検索をしてみた。すると、『八百万の神』という社寺検索サイトの朝光寺のページがヒット。空欄だと思っていた「最寄のバス停・路線」に記載があったので、確認するとたしかにバス路線が存在した。さっそく行程を練った。
まず目についたのは、寺の名前がつく「上久米朝光寺口」バス停。地図を見ても最寄りのようだが、朝光寺までの道がぐるっと回っていて52分かかる。バスの本数も限られている。組み合わせてみると、朝光寺滞在は49分、もしくは2時間48分と適当でなかった。
次はゴルフ場縦貫。バス路線に接するゴルフ場入口からの道が、ゴルフ場を縦貫して朝光寺へ至る道へ接続していた。ゴルフ場入口のそばには「上久米西口」バス停があり、朝光寺まで39分なので滞在時間を延ばせる。でも時刻を調べて断念。帰りのバスがなかった。
同じ路線なのにバス停により便数が異なる。不思議に思い路線図を見るとすぐに納得。両バス停の間に「上久米大日前」バス停があり、そこから「上久米西口」へ行く路線と別の路線とに分かれていた。別の路線のほうが主路線のようだった。
採用したのは、「上久米大日前」で下車し、東光寺の前を通り、ゴルフ場の駐車場で縦貫道へ入るルート。朝光寺まで39分、滞在時間は1時間30分。最適だった。ちなみに、地図アプリでは採用ルートは案内されなかった。東光寺の前の道を私道と認識していた。でも調べるとその道は公道。案内しているゴルフ場入口からの道こそゴルフ場の私道だった。

三田駅。連接バスをはじめて見た。西日本初だそうだ。失礼ながら三田に必要だろうかと思ったが、テクノパーク、関西学院大学、ウッディタウンへ行く路線が混雑するのだそうだ。

上久米大日前バス停の前にはコンビニがあった。何だかうれしかった。

ゴルフ場を縦断し、右へ折れ、山腹に沿った道を歩く。右にゴルフ場が接している。

ゴルフ場が離れると道幅が半分になった。空が樹木で覆われ、急に心細くなった。

追い打ちをかけるような看板。過去に事故があったので掲示しているに違いない。

寺の駐車場に到着。脇のトイレで用を足し、前の小道を奥へ進んでみると……

山門への石段。まさかこの小道が参道なのか。あまりに地味ではないか。

小道をさらに進み、案内のあった滝を先に鑑賞。『つくばねの滝』だそうだ。ツクバネ(衝羽根)という植物が寺の周囲に自生しているそうだが、見つけられなかった。

石段を上ると仁王門だった。引きがなくこれで目いっぱい。1984(昭和59)年に瓦屋根の葺き替えを行ったそうだが、屋根より下は前回の修理から何年経つのだろう。

国宝本堂。寺の開基は法道仙人だそうだが、覚えがあると過去の写真を確認したところ、一乗寺を開いた方だった。調べると播磨に縁が深く、県下で100を超す寺を開いたとか。
寺の創建は裏の権現山だったそうだが、三草山の戦いで源義経に焼かれてしまい、1189(文治5)年にこの場所で再興したそうだ。本堂は再興時になかったのか、それとも2代目なのか、1413(応永20)年に再建されたのではないかということだ。

和様、大仏様、禅宗様をミックスした折衷様式の典型。これほど立派なお堂がひと気のないひっそりした境内に佇むのはもったいないが、5月5日の鬼追踊では人が集まるようだ。

本堂の向拝には美しい海老虹梁。左は仁王門だが、一面壁なのは珍しいのではないか。

土足厳禁のほかに注意書きがなかったので、1枚だけ撮らせていただいた。太山寺同様がらんどうの外陣は清々しい。素木で組まれた各部の美しさがはっきり見える。
本尊は千手観音立像だが、2体祀られているそうだ。東本尊と呼ばれる1体はむかしから安置されていたが、西本尊と呼ばれる1体は、三十三間堂より譲り受けたものをあとで加えたとか。

多宝塔。空模様がコロコロ変わりはじめた。

鐘楼。屋根は銅板葺きだが、元々栩(とち)葺きだったそうだ。柿(こけら)葺きより厚板を用いた葺き方。袴腰の鐘楼は法隆寺や一乗寺で観ているが、どちらも瓦葺きだったので、板葺きや銅板葺きは珍しいのだろうか。それにしても、袴腰の鐘楼はなぜ梵鐘が見えないのだろうか。

小腹がすいていたので、コンビニで買い物をしようと少し早く下りた。バスはほぼ定刻にやってきたが、学校帰りの子供たちで混雑していた。バス停へ着くたび1人2人と減っていったが、三田駅まで乗っている子もいた。毎日2時間もバスに揺られしんどいだろう。

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