殺生

村上春樹さんは、海外ではサイン会をするのに国内では一切せず、それどころか友人知人にさえサイン本を贈呈しないそうだ。「もらった方の心理的負担を考え、処分のしやすさを考えてのこと。それにかならず悪い人たちがやってくる」からだそうだが、それがついに解禁される。近日発売される『村上ラヂオ 2』で、100冊だけサイン本が並ぶそうだ。
ファンとしてこれは見過ごせない。でも全国の書店へどのような塩梅で配られるのだろうか。さっそく紀伊國屋書店新宿本店に案内が掲載された。

『おおきなかぶ、むずかしいアボカド 村上ラヂオ2』(文・村上春樹、絵・大橋歩)の刊行を記念して、スペシャルな販売会を開催いたします。お買上げの先着200名の方にその場で抽選をしていただき、50名の方には村上春樹さんのサイン本と交換いたします。

紀伊国屋書店新宿本店

紀伊國屋書店、しかも新宿本店だけで50冊か。これだと残り50冊はジュンク堂池袋本店か。いや、ほかにも丸善やブックファーストやリブロだってある。でもどれだけ書き並べても、おそらく東京の書店のみだろう。フン、鼻息を荒くして損をした。
おそらく周囲からのリクエストなのだろうが、それにしても村上さんは罪なことをなさる。人参をぶら下げられても500km先では届かない。