TENET

大阪日本民芸館で『民藝の軌跡―ポストEXPO’70の作家達―』を鑑賞し、109シネマズ大阪エキスポシティのIMAXで『TENET』を観るつもりだったが、どの回もよい席が埋まっていたので、梅田へ戻って普通のスクリーンで鑑賞。でも結果的にそれでよかった。IMAXで迫力や没入感を味わおうと企んでいたが、それ以前に作品が面白くなかった。
クリストファー・ノーラン信者ではないが、『インセプション』『バットマン』三部作、『インターステラー』を観てしまうと、この監督の作品にすごさを期待してしまう。
たしかに本作もすごかった。ワクワクするような壮大なテーマだった。なにしろ逆行する時間の流れが同時に存在する世界なのだ。でもそれがどうした。なぜそんなことが起こるのだ。
仕組みなど知らなくてよいのか。ならば人類滅亡より悲惨なこととはどういうことか。あの作りが雑な装置に火が点けば、デス・スターの攻撃みたいに地球が木っ端微塵になるとでもいうのか。もしそうなら途轍もないが、あんなに軽々しく持てるものなのだろうか。
娯楽映画は感動を与えるものだと思っている。それはテーマだったり物語だったり、キャストが感動を与えることもある。でもこの作品のキャストには魅力を感じなかった。ケネス・ブラナーは悪役ぶりを発揮していたが、呆気なく死んでボートに引きずられていた。常連のマイケル・ケインが何の役だったかもはや覚えていない。爆破用のボーイング747を購入したせいで、キャストへ回すお金がなかったのだろうか。でも2億ドルをかけた作品には見えなかった。
終映後「つまらなかった」「ついていけなかった」と口々に話していたが、まったく同感。彼の作品は、たとえ途轍がないものでも、面白くてワクワクするものではなかったか。
大阪日本民芸館のほうは、第2展示室以降は前回の展示のままだったが、第1展示室で武内晴二郎さんや柚木沙弥郎さんの作品がたくさん展示されていた。前回は混んでいたが今日はひとり。心ゆくまで堪能した。ショップでとうとう浄法寺塗のお椀を購入。大切に使いたい。