瀬戸内国際芸術祭2010 2日目

昨夜一番に眠ったようで、朝早くに目覚めた。のどが渇いていたので、飲み物を買いがてらすぐそばの漁港を散歩。人懐こい猫が遊んでくれた。
芸術祭は直島をはじめ大小7つの島に作品が展示してあるそうだが、島間の移動はもちろん船しかない。でもどれも小さく便数も少ないので、行程は船の時刻に縛られる。
今日は豊島と犬島へ渡るのだが、もっとも便数の少ない、それでいてもっとも人気のある島なので、船の時間を何度も確認した。
豊島での滞在時間は3時間。バスの中で時間を計算した結果、遠くにある『心臓音のアーカイブ』『ビューティ』はあきらめ、まだ建設中の豊島美術館周辺に的を絞った。

豊島美術館へのアプローチ。あまりに素敵なロケーションに言葉が出ない。まるで映画のワンシーン。自転車があれば、両足を思い切り上げて駆け下り、そのまま海へダイブしたい。
いくつか作品を観た中で、『ストームハウス』が印象的だった。嵐がやってきて通り過ぎるまでの10分間を再現したもので、叩きつける雨や稲光、ガラス戸を揺らす突風などを人工的に作り出す。この手はよくあると思うが、この作品が秀でているのは、実際の、しかも年月を経て古びた家屋を利用していること。ノスタルジックな臭いのするインスタレーション。
港へ戻り、待ち時間に昼ごはんを食べていると、あやうく犬島への船に乗り損ねそうになったが、なんとか乗せてもらうことができた。機転のきいた友人がいなければ、帰りの船の整理券ももらうことができなかった。

『犬島精錬所』は野又穣さんの絵の世界のようだった。三分一氏の施設や柳氏の作品も見応えがあったが、この遺構にはかなわないだろう。
この煙突は繁栄や衰退を見つめてきた。ここで働く人々の喜びや悲しみを見つめてきた。そしていよいよ朽ち果て崩れ落ちようとしている。次に来る時はなくなっているかもしれない。そのあと『家プロジェクト』を観たが、きれいで薄っぺらくてなんだか空々しかった。
直島へ戻り、汗を流しに銭湯『I LOVE YOU』へ。用途が用途なので『はいしゃ』ほどのやりたい放題はなかったが、象のお尻には赤面した。やんちゃな車についているシフトノブのようなカランが欲しくてたまらなかった。