派手でうるさいカバーだと思い目を凝らすと家具のイラスト。織田憲嗣さんの本だった。
織田さんをはじめて知ったのは2000年頃だろうか。1995年に雑誌BRUTUSでイームズ特集が組まれ、ミッドセンチュリーブームが到来したが、ヤコブセンなどのデンマーク人デザイナーの家具も紹介され、デンマーク家具の収集や研究をしていた織田さんにスポットが当たった。デンマーク家具などを紹介する著書が出版されたが、織田さんの収集や研究について書かれたものはなかったので、そこで織田さんへの関心は途絶えた。2013年に中村好文著『建築家の住まいぶり』が出版され、北海道に住む織田さんのご自宅がコレクションとともに紹介されたが、ページに限りがあり写真が少なかったので、あまり印象に残らなかった。
この本の出版は2017年だが、なぜ今になってと思ったらあとがきに書いていた。織田さんのコレクションは椅子1,350脚、その他家具120点、照明器具140点、テーブルウェアや雑貨類6,500点、書籍3万冊だそうで、これまで一部の貸出はしているが、全貌を紹介できていない。それを叶えるための私設ミュージアムの構想があるが、実現するには道半ばなので、まずは書籍というかたちで紹介することにした、ということのようだ。
住宅特集くらいの厚さにまるごと織田邸が納められている。ご自宅のすべての部分ごとに、コレクションが置かれた室内写真、解説、プロット図が掲載され、織田さんの人となりやデンマーク家具の歴史がわかるインタビューも掲載されて、価値のあるすばらしい内容となっている。
でも造本は頑張りすぎた。写真ページとインタビューページが交互にセットされているが、硬めの紙の写真ページに対し、インタビューページの紙はグラシン紙のように華奢で、しかも幅を狭くしているので、ページをめくるときに紙を痛めそうで気を使う。