高知

7:00起床。ロビーへ降りて朝食をいただく。パンとサラダとゆで卵とコーヒー2杯。上等だ。これで1泊3,800円なのだから、部屋が狭くてもテレビの映りが悪くても文句は言うまい。
高知駅でバスに乗り、一路牧野植物園へ。植物園のある五台山へ入ると、沿道はみずみずしい緑に包まれていた。ちらほら桜も咲いている。

駐車場の一角にあるバス停で降りると、どこから入るのかわからないほど控えめな正門。でも一歩足を踏み入れるとそこはもう植物園だった。多種多様な草木が植えられ、ひとつひとつ丁寧にネームプレートがついている。こちらもひとつひとつ確認して歩いたが、はじめて見聞きする植物ばかりで、いきなり牧野富太郎さんの偉業を思い知らされた。

この建築は屋根の建築。俯瞰で全体を見ることはできないが、各所各室がクロワッサンのようなかたちの1枚屋根に覆われている。各所の天井高が異なるので、屋根は水平でなく畝っている。

屋根を支える架構が美しい。鉄と木のハイブリッド構造。緩やかに弧を描く軒やリズミカルな垂木。竪樋のディテールもおもしろい。合理性を追及しているが意匠をお座なりにしていない。構法やディテールの隅々まで、それらがいくらかかるのか熟知している。そうしてひとつひとつ詰めていかれるのだろう。海の博物館から一貫されている手法なのだと思う。

ひととおり建築を拝見したので、今度は植物を見て歩いた。6haの園地に1,500種13,000株の草木が植わっているとか。これから花咲くものが多かったが、桜や蓮華つつじは満開だった。

温室では色彩のコントラストに目がくらんだ。生命の力があふれていた。葉脈が美しい植物がたくさん植わっていた。天気がよくて暖かく、幸せな気持ちになる場所だった。
このまま桂浜まで足を延ばし、竜馬記念館でもとバスに飛び乗ったが、間違えて反対行きに乗ってしまった。次のバスまで1時間以上もあったので、あきらめて高知駅へ戻った。

アーチの大屋根。遠くから見れば大きい印象を受けたが、ホームに立てばほどよいボリュームに感じられた。不思議な感覚だったが、気を使われた部分だろう。

大屋根は一方が地面から、もう一方は高架から立ち上がっている。既存線路の影響で仕方がなかったそうだが、アシンメトリーがかえって架構に動きを与えていた。構造冥利に尽きる建築。昨夜谷口さんが話していた。構造と意匠をいかに対等に設えるか。
たっぷり見学したので帰ることに。このまま電車に乗って、車窓の景色を楽しみながら岡山まで戻ろうかとも考えたが、疲れてしまったので、乗り換えのないバスで岡山まで行き、新幹線に乗ることにした。わざわざ喫茶店で時間をつぶし、はじめてさくらに乗った。4人席なのでゆったりしてはいたが、それだけ。大した感慨に浸れず。