えにし

ゼミの後輩たちの卒業制作展を覗いた。ゼミ恒例のイベントで、京都の画廊を借りて行っている。自分のときも行ったが、はじめてのことで相当気が入った。模型をほとんど作り直し、案内状のデザインを何案も考えた。たくさんの人に見てほしいと、関西在住の建築家へ勝手に案内状を送りつけたりした。いま思えば大胆なことをしたものだ。
画廊の方との会話の中で、思いもよらない方の名前が出た。ゼミの先生には息子さんがいて、主に家具のデザインをしているが、その道を志すきっかけが、むかしこの画廊で展覧会をした中村好文さんの家具だというのだ。驚いた。中村さんがこの画廊で展覧会をしていた。
画廊との出会いは中村さんらしいユニークなものだったそうだ。画廊の横に村野藤吾が設計したホテルが建っているのだが、ホテルの見学に来たときに、画廊へたまたま立ち寄った。そのときちょうど石川哲司さんの個展をしていたそうで、中村さんが彼と彼のイラストをえらく気に入り、表に立って客引きまでしたのだとか。
そんなこととはつゆ知らず、うちの本棚には石川哲司さんの作品集が納まっている。