なみだをふいたら、ごはんにしよう。

料理は人を幸せにするといわれるが、飯島奈美さんのつくる料理ほど当てはまるものはないと思う。飯島さんはフードスタイリスト。テレビドラマや映画に登場する料理を作る。『消えもの』と呼ばれる脇役の料理を、みごと主役級の座まで押し上げた方。
彼女のことは『かもめ食堂』で知り、その後も『めがね』『のんちゃんのり弁』『プール』『深夜食堂』『南極料理人』と、彼女の料理が登場する作品はすべて観た。彼女のつくる料理を見ていると、食べてもいないのに自然と笑みがこぼれてしまう。
現在放送している『天使のわけまえ』というドラマにも、飯島さんの料理が登場する。観月ありささん扮する主人公が、おばあちゃんから教わった家庭料理をいろんな人に振る舞う。イッセー尾形さん扮する工事現場のガードマンにおはぎを振る舞い、ともさかりえさん扮するセレブの奥様に太巻きを振る舞う。大滝秀治さん演じる祖父が、孫を気遣い秋田からお米やたくさんの食材を送ってくれる。昨夜の放送では、自ら上京して郷土料理のきりたんぽを振る舞った。振る舞われた人はみんな笑顔になり、それを観ている私もまた笑顔になった。笑顔の連鎖。
大好きなイッセーさんや、大滝さんの演技が絶妙で、河口恭吾さんが歌う主題歌『名もなき花よ』の詞(コシノヒロコ作)がとても美しい。