人災

画像:Google Earth Pro

伊豆山地区の土石流の映像は、先週読んだニュース記事を思い出させた。リニア中央新幹線の工事現場におけるリポートだが、掘削土を雛壇上に積み上げている写真が掲載されていて、まるで土石流の発生地点と同じ形状をしている。
この災害でつくづく実感した。土木はスケールが大きい。5万立米の盛土など見たことも関わったこともない。高さは推定50mだそうだが、おそらく簡単にやってのけるのだろう。
発生地点の西側の剥げた部分は、静岡県知事が関係ないと断言した太陽光発電所。たしかにこの部分から土砂崩れなどは起きていないようだが、発生地点から道が繋がっているように見える。盛土と発電所の工事期間を知らないが、道をつくるために盛土をしたのであれば、関係ないとは言えない。ネット検索を進めるとゴシップ記事に当たることがあるが、太陽光発電と知事には蜜月の関係があり、太陽光発電を推進しているそうだ。リニアには反対するのに、ソーラーパネルのせいで自然が破壊され、美しい自然の景観が台無しになることは構わないと思っている。
再生エネルギー熱が上がるからこういうことになる。コロナを終息させることができないのに、無観客でも五輪を開催するような政府に思考能力はないのだろう。だから2030年までにCO2排出削減46%などと言ってしまうし、すべての住宅にソーラーパネルをなどと言ってしまう。
再生エネルギー設備の立地に最適なのは、海でも川でも田畑でもなく森林。だから林野庁は、日本の森林の半分近くある保安林の規制を緩めようと企てているそうだ。
そもそも再生エネルギーでCO2削減効果はどれほどあるのか。山を切り開けばCO2を吸収してくれている樹木がなくなる。補おうと周囲に植えても、成木するには50年かかるので、2030年には間に合わない。生物の多様性が破壊されるかもしれないし、水源涵養機能も損なわれるかもしれない。何より今度の災害のようなことが起こるかもしれない。今度の災害は天災ではなく人災。考えるだけで恐ろしい。人間の傲慢があの土石流を引き起こした。
冒頭のリニアの掘削土は仮設だそうなので、どこかへ運ばれるのだろうが、ではどこへ運ばれどのような処理を行うのか。JR東海は然るべき処理を行うとしか答えていないようだが、この災害を機に国民の関心は高まった。不誠実な対応をすれば開業はますます遠のくだろう。