勲章は己のなかにしまっておくもの

部屋を見渡してみるが、うちにはGマークのついた商品がない。それより、少しはデザインについて考える私でも、Gマークのついた商品にどのようなものがあるのか知らない。
現在のグッドデザイン賞には建築・環境部門というのがあるそうだ。ある設計事務所のウェブサイトに、「今年のグッドデザイン賞に応募しました」と書いていた。でも建築がグッドデザイン賞をとってどうするのだろうと思う。グッドデザイン賞のウェブサイトを見ると、ハウスメーカーの住宅がけっこう受賞しているようだが、これならわかる。ハウスメーカーの住宅は商品なので、広告にGマークを入れればそれなりに効果はあるのだろう。でも建築家が設計した住宅の場合はどうなるのだろう。ウェブサイトにGマークを掲載するのだろうか。
そもそも世の中のどれだけの方がGマークのことを知っているだろう。グッドデザイン賞を受賞しても、Gマークを使うには使用料が必要だということを知っているだろうか。
そこまでして建築家が作品にGマークをつけるのは、単に悦に浸りたいからだろうか。建築家のウェブサイトには必ず略歴のページがあり、受賞暦が掲載されていたりするが、前から疑問に思っていた。クライアントは受賞歴を参考にしたりするだろうか。
受賞は勲章だが、ぶら下げすぎた勲章はみっともなく、嫌味に見えるかもしれない。