東京

上京して展覧会3つ。新横浜駅で横浜線へ乗り換え、中央線を経由して立川へ。
会場への道を行きながら、ファーレ立川のストリートアートを鑑賞。109点も作品があるそうだが、すべて観る時間はないので、あらかじめ調べておいた3つを鑑賞。

新しく知ったマーティン・プーリエさん。作品が立川にあった。ほかに六本木ヒルズの毛利庭園や東京国際フォーラムにあるそうだ。マグリットの山高帽のようなベンチは、座の部分は石でできていたが、メッシュの内側は掃除を諦めたのか、苔むし汚れがひどかった。

ドナルド・ジャッドの遺作は日本だった。病床で進められたそうだ。

川俣正さんの小屋。完成から30年近く経つそうで、亜鉛メッキ鋼板の風合いが素敵。
1つ目の展覧会はPLAY! MUSEUMで『柚木沙弥郎 life・LIFE』展。昨年オープンした『GREEN SPRINGS』という流行りのつくりの街区にある子供のための施設。手塚建築研究所が内装を手がけ、手塚貴晴さんは館長もしているそうだ。そういえば京都市京セラ美術館の館長は、改修を手がけた青木淳さんがしているそうだが、館長は美術に精通していなくてよいのだろうか。

のれん『あ、うん』がお出迎え。二人ともいい顔をしている。なぜこんな高い位置にと思ったが、キャプションに「理解しようと思ったりせず、ゆっくりと見て、感じてほしいですね」。

展示構成は3つ。1つ目は『絵の道』。絵本を手がけたのは70歳を過ぎてから。ずっとやりたかったそうで、原画は印刷物とは異なり色がキラキラしていた。左に見切れているのは型染めによるイベント告知ポスター。現在開催中の日本民藝館展のポスターもあった。

2つ目は『町の人々』。絵本『トコとグーグーとキキ』に登場する人たちを人形に。

師の富士はシックだが、沙弥郎さんの富士はおめでたい。まさしく「ワクワクしなくちゃつまらない」作品。キャビネットには小さなコレクションがぎっしり。さらに奥へ進むと…

3つ目は『布の森』。半分以上がはじめて見る図柄で興奮しきり。エネルギーがほとばしる。

幾何学模様。左の赤い図柄は『Morning』。理解するなと言うが名づけのわけを知りたい。
売店は盛りだくさん。娘さんのお店『hana』のクッキーなども。A3判の図録は染め布の図柄が大きく観られて魅力的だったが、それもA3にするの?というページが目についてしまい、価格にもビビってしまったので購入しなかった。代わりに先日発売された別冊太陽と絵本を2冊、それと上述の『Morning』がハンカチになっていたので購入。タグを見るとH TOKYO製だった。

2つ目の展覧会は東京国立近代美術館で『民藝の100年』展。撮影可能な場所は、ここと柳宗悦の書斎再現コーナーのみだった。ほとんどの作品が無名の工人によるものなのに、なぜ撮影できないのだろう。まさか今では美術品の扱いなのだろうか、と嫌味たらしく独りごちた。
広告に打ち出しているUFOのようなヤカン。あの裾のツバは何だろうと気になっていたが、むかしの暮らしを撮影した映像に映っていた。火鉢の上に置かれていたのだが、ツバがちょうど火鉢との隙間に蓋をする格好になっていた。熱効率をよくするための工夫に感心。
売店は岡山の民芸店やD&DEPARTMENTが出張していて、魅力的な商品がたくさん並んでいたが、ぐっと堪えて図録のみ購入。これだけはここで買わないと書店に置いていない。通常版はなんだかみすぼらしかったので、背表紙に黒い紙クロスを手貼りしたという特装版にした。
インターバルは森岡書店。三谷龍二さんの作家活動40周年記念の冊子を購入。一般流通されていないようなのであきらめていた。ほかに数点のオブジェの展示と、バターケースやカラトリーが販売されていたようだが、バターケースは即日完売したとか。あいかわらずの人気。

3つ目の展覧会は東京オペラシティアートギャラリーで『和田誠展』。いよいよ今週末で閉幕。だからなのか、平日昼間なのにたくさんのお客さん。入場するのに30分並んだ。

1つ目の展示室。入ってすぐの壁一面にはスターたちの肖像。両側の壁には、絵本やhi-liteの原画、幼少から高校生のころに描かれた絵物語や漫画なども。立ち並ぶ柱は年代ごとのトピックス。画像は閉館間際に撮影したもので、入ったときはこの何倍ものお客さんがいた。
観たかった『夜のマルグリット』。吸い込まれそうな青とファウスト医師のマゼンタ。

2つ目の展示室も圧巻。入って正面は事務所に眠っていたという日活名画座のポスター。9年に亘り無償で月2枚ずつ185枚も描いたそうだが、映画が大好きな和田さん、描きたくてしょうがなかったのだろう。左側は週刊文春のカヴァー。『表紙はうたう 完全版』は、完全版とはいえ多くが小さいので、すべてを原寸大で観られたことがうれしかった。映っていないが、右側の面はイベント広告などのポスター、囲いの内側はレコードジャケットや映像作品など。最後の通路部分には、ご本人の著書や装丁をした書籍がずらり。展示総数は2,800点とのこと。

和田誠フォント。上述のポスターのテキストや、週刊文春の文字もそうだし、和田さんは文字も大好きだった。今回の展示ではないが、レミさんへのメモを袋文字で書いていた。
閉館が迫っていたが売店へ。図録も日活名画座のポスター集も書店で売っているので、何も買わないつもりだったが、はじめて見る絵本があったのでそれだけ購入してお終い。
新幹線は往復とも700S。はじめての700S。モデルチェンジは700系で終了し、今後はマイナーチェンジをしてゆくということだったが、この内装はモデルチェンジといってよいと思う。
目を引くのは曲線を用いたエレガントな壁パネル。フックがついているパネル上部の隙間は吹き出し口。手をかざすと暖気が出ていた。照明が間接になったので天井はよりプレーンに。等間隔の切り込みはアクセントのようでいて、監視カメラをきれいに収めるためだろうか。照明は間接+LEDになったので暗くなったのではないか。本が読みづらかった。駅に近づくと照度が上がるようになっていたが、こだま運用の場合鬱陶しくないだろうか。コンセントはシートのひじ掛けにうまく仕込まれていた。ファブリックの柄に富士山、通路床の柄はシックに。
惜しむらくは電光掲示板。表示部分が大きくなり、2段表示ができるようになっていたが、レイアウトや文字サイズのバランスがうまくなかった。