落とし前をつけた

1Q84 BOOK 3読了。まさか牛河が割って入るとは。人物が細かく描写されていて3人の中でいちばん楽しめた。村上さんは「登場人物をできるだけ丁寧に造形した」と言っていたが、牛河の場合は丁寧を超えて愛すら感じた。これが村上さんがやりたかった『総合小説』なのだろうか。
それにしてもBOOK3には面食らった。新たな謎がいくつか生まれたものの、一貫してごくふつうの、日常を淡々と描いた日記のようだった。あいかわらず月はふたつあり、リトルピープルや空気さなぎも登場するが、青豆はずっとマンションに閉じこもり、天吾は千葉の療養所で父親につきっきり。ふかえりや小松、マダムやタマルは一線から退いている。そんななか牛河だけがあくせく働いていた。でも働きすぎて、張り切りすぎて最後には死んでしまった。
なにはともあれ、ふたりが合うことができたのだから、これでお終いだろうか。12月で終わったからつぎは『1985』になってしまう。でも「そんなこと関係ないぜ!」と赤いQをリリースしてほしい。青豆のさなぎ、牛河のさなぎ、そしてさきがけ。ネタはまだある。