草間彌生さん

NHK-BSで放送していた草間彌生さんのドキュメンタリー。3時間なのでチビチビ観ようと思っていたが、のっけから引き込まれて一気に観てしまった。
半ば隠居に入り、気が向いたら絵筆をとる程度と思っていたが、2m四方のキャンバスを1日で埋める。それを100枚こなし、休むことなく次の100枚に取りかかる。いやまいった。齢82にしてどこからそんなエネルギーが出てくるのか。普通ではない。人間ではない。
「ウォーホールもピカソも目じゃないわ。私のほうが天才よ」と言ってのける大胆不敵。そうかと思えば、「次の100枚を仕上げたらまたあのお菓子ちょうだいね」と子供のような目。彼女の頭の中はどうなっているのか。怖そうなので、入口にしっかり手をかけて覗いてみたい。
このような方なので、てっきり創作活動にしか興味がないと思ったら、ギャラリーに作品の値段交渉をし、さまざま広報活動もする。むかしは女性アーティストなど見向きもされなかったので、いかに自分を売り込むかが肝要だったそうだが、彼女にはその素養が身についている。
テートモダンとポンピドゥセンターのキュレーターがタッグを組み、来年にかけて欧米の一流美術館で大展覧会が催される。そこには100枚の作品も展示されるそうだが、観に行きたくてたまらない。彼女のほとばしるエネルギーを全身に浴びたい。

梅雨が明けいよいよ節電の時がきた。うちの場合は家電のコンセントを抜いたり、主電源を切ったり、すすぎが1回ですむ洗剤に替えたりしている。
エアコンはついているがほとんど使わない。風が抜けるのでよほどでない限り扇風機で間に合う。でもどうしようもないのが西日。9階で遮るものもないので、減衰せずにフルパワーで正面から射してくる。身の危険を感じるほどのパワーなのだ。
昨年は『日よけネット』を設置した。効果てきめんだったものの、設置がまずくボロボロになり、ひと夏で終わらせてしまった。今年はどうしたものかといろいろ調べたが、結局すだれに落ち着いた。幅半間のものを4枚と巻き上げ器。2,000円でおつりがきた。今度はひと夏で終わらせてなるものか、コンクリボンドで梁の横っ腹にフックをつけてそれに引っかけた。
すだれのある暮らしははじめてだが、そのよさを日に日に感じている。見た目が涼しげで、ある程度の透過性をもち、虫が寄りにくく、使い終われば土へ還る。とても素敵な先達の知恵。

なんて重い十字架だろう

映画『10万年後の安全』を観た。フィンランドのとある島に建設中の『オンカロ』地下500メートルまでトンネルを掘り、使用済核燃料を放り込み、コンクリートでふたをして永久に閉ざしてしまおうという施設。
10万年とは使用済核燃料が無害化するまでの時間だそうだが、世紀でいえば1,000世紀。日本の平均寿命で割れば1,190世代分。これはもう宇宙的数字。
10万年後の地球はどうなっているか。人類はまだ存続しているか。それとも氷河期に入って絶滅しているか。存続していたとしても、進化(あるいは退化)してわれわれとは異なる姿をしていて、言語も変わっているのではないか。ではそんな未来人にどうやって警告すればよいのか。文字でだめならオペリスクでも建てるか。いやむしろ警告などしないほうがよいのか。警告すればかえって興味を引き、パンドラの箱が開けられてしまうのではないか。
以上は施設関係者のセリフ。だれも10万年後の世界など想像できない。ケセラセラ。でも無責任甚だしいと怒り心頭に発してはいけない。この茶番のような問答がわれわれを目覚めさせる。それは『使用済核燃料が無害化するのに10万年かかる』という事実。これから逃れることはできないと認めさせる。それがこの作品の主題なのだ。
原発に頼らない自然エネルギーを考えるのも大事だが、この産み落とされた卵をいかに孵化させないようにするかも大事。これをクリアしない限り、本当の未来予想図を描くことはできない。これをクリアにしない限り、子供や孫やその先の世代に明るい未来を提供できない。

LED電球

あまり興味がないし、仕事で使う機会もないので、LED器具は詳しくない。だからイメージは登場したときのまま。電球型でいえば、熱を逃がすために下半分が金属のフィンで覆われているものや、いま主流の車のヘッドライトのように、小さな光源が集まった蓮の実のようなもの。前者は無機的で温かみがないし、後者は見ていて気味が悪い。
ところがこのLED電球は慣れ親しんだ白熱電球そのもの。放熱フィンがついていない。口金の上の部分は構造上仕方がないのだろう。それよりもこのかたち。全方向に灯るのだから画期的。
消費電力5.6W、寿命40,000時間とはさすがのLEDだが、惜しむらくは色温度と全光束。電球色相当で3000Kとうたっているが、白熱電球より少し白い。全光束は330lmとあるが、白熱電球でいえば30W程度。そこまで暗い感じはしないが、ひとつで食卓を照らすにはほど遠い。今後の性能アップに期待したい。それにしてもこのかたち。これはもう情念のかたち。

殺生

村上春樹さんは、海外ではサイン会をするのに国内では一切せず、それどころか友人知人にさえサイン本を贈呈しないそうだ。「もらった方の心理的負担を考え、処分のしやすさを考えてのこと。それにかならず悪い人たちがやってくる」からだそうだが、それがついに解禁される。近日発売される『村上ラヂオ 2』で、100冊だけサイン本が並ぶそうだ。
ファンとしてこれは見過ごせない。でも全国の書店へどのような塩梅で配られるのだろうか。さっそく紀伊國屋書店新宿本店に案内が掲載された。

『おおきなかぶ、むずかしいアボカド 村上ラヂオ2』(文・村上春樹、絵・大橋歩)の刊行を記念して、スペシャルな販売会を開催いたします。お買上げの先着200名の方にその場で抽選をしていただき、50名の方には村上春樹さんのサイン本と交換いたします。

紀伊国屋書店新宿本店

紀伊國屋書店、しかも新宿本店だけで50冊か。これだと残り50冊はジュンク堂池袋本店か。いや、ほかにも丸善やブックファーストやリブロだってある。でもどれだけ書き並べても、おそらく東京の書店のみだろう。フン、鼻息を荒くして損をした。
おそらく周囲からのリクエストなのだろうが、それにしても村上さんは罪なことをなさる。人参をぶら下げられても500km先では届かない。

想定外

リニューアルしたJR大阪駅にはじめて降りたが、古い屋根の架構がまだ一部残っていて、仮設には見えないきれいなガラス屋根が架かっていた。
新しい大屋根があまりに高い位置にあるので、風雨が強ければホームに吹き込んでしまう。だから古い屋根は外せないのだとか。でもシュミレーションはきちんとしていると思うので、大屋根でホーム全域をカバーできないことは最初からわかっていたのだろう。
いくらガラスの屋根を架けても、これではせっかくの大屋根が台なし。欧米にある終着駅のような、アーチの大屋根で覆われた駅になるとイメージしていたのに。そういえば、先日観た高知駅も両端には別の小さな屋根が架かっていた。思うようにはならないのだ。