prime videoで『ディア・ドクター』『夢売るふたり』を鑑賞して思い出した。新作の進捗はどうなっているのだろう。数年前に次回作についての記事を読んだが、これから脚本を書くということだったので、それなら完成はまだ先とすっかり失念していた。ネットで検索するとこの夏に完成したようで、公式サイトもできていた。公開は来年2月だそうだ。
新作ははじめて原作から起こしたそうで、それが佐木隆三著『身分帳』。映画化を機に復刊されたという文庫を手に入れたら、巻末に西川美和監督の文章が綴じられていた。こんなに面白い本が絶版とはもったいない。誰も知らないうちに映画化しようと決心したとか。
著者は映画『復讐するは我にあり』の原作者でもあるが、このような映画を作りたいという夢を持って、この世界に入ったようなものだと書いていた。実在した連続殺人犯が主人公の、人間の心にある禍々しい部分を描いた作品だが、形は違えど西川美和監督の作品にもそのような部分が見られるので、出自の一端を知ることができてうれしかった。
新作ではどのような人間の生を描いてくれるのか。満を持してキャスティングされた役所広司さんや、他の彩りある役者さんたちの演技、そして監督の脚本が今から楽しみ。
原作の新装カバーも素敵な仕上がり。イラストと文字は原作の世界をうまく表している。そでにカバー挿画とデザインのクレジットがあるが、奥付にもデザイン-菊池信義とある。なぜだろうと調べると、『講談社文庫』の意匠を菊池さんが手掛けているということだった。
菊池さんの名前は久しぶり。来月にはいよいよ映画『つつんで、ひらいて』のソフトが発売される。そういえば監督の広瀬奈々子さんは西川美和監督のお弟子さん。つながっている。