ソーラーパワー

今日は一日オンラインセミナーだった。主催は町の工務店ネット、協賛は手の物語。
午前はパネルディスカッション。設題は『住まいまわりの地面をどう扱う?』。西村佳哲さんがファシリテーターとなり、ランドスケープデザイナーの田瀬理夫さん、造園家の高田宏臣さんが設題に答え、それに対し建築家の泉幸甫さんと堀部安嗣さん、建築環境学者の宿谷昌則さんが意見するという構図だったが、蓋を開ければ5人ともご自身の作品や成果を発表していた。でも私にはそれでよかった。堀部さん以外の方々はあまり知らないが、いまとても関心のある方々なので、皆さんの仕事や成果が垣間見れ、容姿や肉声が知れてよかった。高田さんの「地中環境」や宿谷さんの「エクセルギー」は興味深く、著書を読んでみたいと思う。
秋山東一さんも話していたが、ファシリテーターを知らなかった。司会ではあるが、容易にするという意味もあり、円滑に進める人という意味合いのようだ。またカタカナかと辟易したが、西村さんの要望だったのだろうか。ブーニーハットをかぶった宣材写真や、仕事の内容がよくわからない西村さんは、捉えどころがなく苦手だった。はしゃいだ方だと想像していたが、とても落ち着いていて上品だった。頭の回転が速いのだろう、理路整然と言葉を紡いでいた。
午後は『びおソーラー』の紹介。歳をとったせいか冬の寒さが身に染みる。古い集合住宅に住んでいるのでなおさら。5年前アルミサッシがつけ替えられ、ガラスが複層になり喜んだ。
そのころから温熱環境について考えるようになった。下請けの仕事ではお定まりの断熱材を図面に書くだけで、UA値もC値もQ値も考えたことがなかった。断熱や気密を調べるうちに『びおソーラー』や『OMソーラー』を知ったが、空気集熱式ソーラーは子供のころからあった。実家の隣家の屋根に載っていた。数年経ち撤去されたが、壊れてお湯がとれなくなったそうだ。
『びおソーラー』は『OMソーラー』から派生したもので、『OMソーラー』を辞めた方が新たに立ち上げたのが『びおソーラー』だそうだ。袂を分けた理由は『OMソーラー』のやりすぎにあったようだ。考案者の奥村昭雄さんは色々やりたがる方だったそうで、そのDNAを受け継いだのかさまざまなシステムがラインナップされていて、最高峰がAll Time Real ZEHを謳うシステム。空気集熱式ソーラーとヒートポンプによる全館空調換気と給湯に加え、蓄電池を備えたソーラー発電をパッケージングしたエネルギー完全自給型のシステム。
夢のような設備だが、イニシャルコストや故障が気になる。先日このシステムを解説するオンラインセミナーがあったので受講し、コストをたずねてみたが、ケースバイケースと答えてもらえなかった。故障については、ハンドリングボックスがブラックボックスなので、一般の設備業者では手に負えないと聞いた。室外機が壊れないことは知っているが、貯湯槽はどうなのだろう。基幹部が故障すれば全停止すると思うので、結局補助空調が必要ではないのだろうか。
それに比べて『びおソーラー』はとてもシンプル。暖気や冷気を床下へ送り、コンクリートを蓄熱させ、床吹き出し口から空気を吹く。これは『OMソーラー』も同じだが、仕組みとしてはここまで。換気をしたり、お湯や電気はつくらない。壊れそうな機器はシロッコファンのみ。これなら一般の設備業者でも対応できる。万が一設置した業者がいなくなっても大丈夫。