ベロシップ

平野レミ著『家族の味』。カバーが明快で清々しい。レミさんによく似合っている。
レミさんのことは、和田誠さんの奥様だから知っているという程度だった。シャンソンは聴かないし、料理らしい料理をしないので、彼女の料理本を読んだことがないし、料理番組を観たこともなかった。でも和田さんが亡くなり、レミさんがあちこちで思い出を語るようになったおかげで、レミさんやご夫婦のこと、ご家族のことを知るようになった。
この本にも、お二人の出会いから結婚へ至るエピソードが掲載されていたり、和田さんの実直さやレミさんの天真爛漫な部分が伺えるエピソードが掲載されている。
料理のレシピも載っていて、作りたいと思うものがいくつかあったが、まずは『牛トマ』を作ってみたい。NHKの料理番組で苦情を受けたという曰くつきの料理。
エピソードが他と重複している部分がままあるが、本にまとめられたことがうれしい。各エピソードに和田さんの軽妙なイラストがついていて、巻末には生前行われたご夫婦の対談、和田さんが亡くなったあと行われた阿川さんと清水さんとの鼎談も収められている。
タイトルはまえがきより引用。スキンシップならぬベロシップ。平野家から受け継いだ和田家の味で、家族の味覚が繋がり絆が強くなるのだと。確かにそうだと思う。