テレビで剛力さんがえらく感動していた如意輪観世音菩薩。学生のころにお参りしたが、そのころは仏像に興味がなく記憶がない。せっかくなので拝観しようと中宮寺のサイトを見ると、『天寿国繍帳』という国宝の刺繍画が展示中だそうで、これはいい機会と足を運んだ。
混むかもしれないと開門一番に着くと、何かの集まりがあってしばらく入れないという。仕方がないので先に夢殿へお参りしたが、救世観音収まる厨子が特別開扉中。暗闇のなか金箔が鈍く光るせいか、不思議な微笑みを湛え、妖気を放っているように見えた。岡倉天心とフェノロサに解かれるまで、白布に巻かれて秘されていたと言われる。なんともミステリアスな仏様。
それに比べ菩薩半跏像の微笑みは仏様そのもの。はっきり彫らずにぼかした口元は柔らく、瞼のふくらみでできた影のせいでいっそう思惟て見える。漆黒の肌に艶が光沢となってあらわれ、頬にそっと当てた指先の優美な線を描き出す。いつまでも眺めていられるうっとりするお姿。