和田さんと和田家

ほぼ日の『平野レミさんと、和田誠さんのことを話そう。』の連載が終わってしまった。
和田さんが亡くなってもうすぐ1年。没後に出版された雑誌の特集を読み漁り、知らなかった和田さんを知ることができた。でもこの連載には、和田さんとレミさんと息子さんたち和田家のエピソードが詰まっている。雑誌には載っていなかったことばかり。
家族だけで行われた和田さんの葬儀に、喪服は似合わないとボロボロのジーンズで参列したこと。仲のよかったレミさんのお父さんのお墓に納骨したこと。仏壇は置かずに、篠山紀信さんに撮ってもらった写真と、谷川俊太郎さんの直筆の詩を添えてお祀りしていること。これらは和田家らしい、和田さんらしいエピソードなのだろう。
面白くて、可笑しくて、ときどきジンときて。とても楽しい鼎談だったが、これで終わるのはもったいないので、『黄昏』のように、語り下ろしを加えて小ぶりな本にまとめてほしい。
連載ページに掲載している、和田さんのイラストが刷られたほぼ日手帳を手に入れた。
オリジナルやカズンのカバーに使われている『時を超える鳥』は大好きなイラストだが、カバーのポリ素材にどうにも馴染めないし、おじさんが持つことに恥ずかしさもあった。
一方weeksの『星座を抱いて』はよくできていた。このために和田さんが描いたと思えるほど、weeksの縦長にうまく納まっているし、キャンバスのような素材も手触りがいい。
weeksでも恥ずかしさは変わらないが、むかし使っていた革のカバーをつければ見られることはない。おかげでカバーを開くたびにニヤニヤしてしまう。チラリチラリのチラリズム。