大雅と蕪村

名古屋市博物館で『大雅と蕪村―文人画の大成者―』展を鑑賞。施設は1977年オープンだそうでつくりが古い。照度も低い。電球を外して間引いていたが間違い。陰鬱な気持ちになる。大阪市立美術館や、昨年訪れた刈谷市美術館でも感じた暗さ。ただ照度が低いというのでもない。
わざわざ訪ねたのは『十便十宜図』のため。観たい作品のひとつで楽しみにしていたが、展示されていたのは1点ずつのみ。横に全20作品掲載の蛇腹式ポケットガイドが置かれていた。
騙されたと腹が立ったが、ウェブサイトにある出品リストには、10の期間に分けて1点ずつ展示すると書いてある。先方に非はない。ではなぜ全作品を一度に展示してくれなかったのか。会期は2か月もないので展示替えは4、5日ごと。どれだけ短期なのだ。長期展示できない状態なのであれば、はじめから展示しなくてよい。『十便十宜図』がなくても、同じ国宝の池大雅『楼閣山水図屏風』や与謝蕪村『夜色楼台図』がある。これらを鑑賞できるだけで価値がある。

名古屋駅への帰りは寄り道をして県庁周辺へ。三の丸庁舎に金子潤さんの作品3つ。昨秋兵庫陶芸美術館ではじめて目にし、好きになった作家さん。床は作品に呼応させるためのボーダーだろうか。惜しむらくは冬の夕刻の光。次は太陽がサンサンと降り注ぐ下で観てみたい。

久屋大通という駅から歩いてきたが、この官庁などが建ち並ぶエリアの環境は劣悪。車道も歩道も舗装が劣化し、落ち葉は長い間掃かれずこびりつき、路上駐車の車列は見た目が悪い。名古屋城を木造で完全復元するなどと馬鹿なことを言っていないで、このエリアをきれいにするほうが先決ではないだろうか。無駄に広い道路も狭くすれば、空いた土地に駐車場をつくれる。

オフィスビルやマンションが建ち並ぶ通りに風情ある日本家屋。なぜショーウィンドウがと思ったが、格子戸の上を見ると美術品商の文字。この佇まいに縄文土器だけでも唸るのに、金子潤さんの作品が違和感なく溶けている。どちらも焼き物なので親和性があるのだろうか。

日経クロステックに掲載されていた坂茂さん設計のビルがちょうど近くに。CLTを型枠にしてコンクリートを流し、仕上としてそのまま利用。構造も負担しているとか。木質の新しい構造形式だそうだが、あまりピンとこない。外壁はCLTを見せたいがためのガラスカーテンウォールだろうが、ブロンズ色の型材や調光ガラスのアンバー色のせいでゴージャスに見える。それが狙いならかまわないが、せっかくのCLTの意義が薄れてしまっているように思う。

自立したコールテン鋼の螺旋階段は美しいが、ビルのゴージャスとマッチしていない。ビルから離れたように、浮いたようになっていれば、独立したオブジェに見えたかもしれない。

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