天目

茶碗はきれいに撮れたと思うが、回転式鏡台の映り込み方がいまひとつ。でもさすが陶磁器の美術館。展示ケースに回転装置が仕込まれていて、面台にツライチに納まっている。
大阪市立東洋陶磁美術館へ『天目―中国黒釉の美』を観に行った。写真の国宝・油滴天目をはじめ、木葉天目や禾目(のぎめ)天目など黒釉茶碗が会した魅力あふれる展示だった。

この木葉天目茶碗は天目作家・長江惣吉さんの作。釉薬の色が美しく、葉脈も黒釉のそれとは異なり独特の雰囲気。館長のあいさつ文によれば、黒釉が施された茶碗を一般的に『天目』というのだそうだが、この茶碗も下地として黒釉が施されているように見える。
並んで河井寛次郎さんの茶碗が展示されていたが、寛次郎さんも天目を手掛けていたとは知らなかった。独自の作品を生み出す前は中国陶磁器の倣作も行い、天目釉薬の基礎を築いた。のちの陶芸家は、寛次郎さんの調合をベースにしているそうだ。

図録は5,500円。写真がよいので、これくらい頂戴してもよいだろうと考えての値付けか。
たしかに写真はとてもきれい。西川茂という方が撮影したそうだが、図録の解説によれば、色や質感をリアルに再現するために最も優れた機材を使用し、紫外線より赤外線までの広波長域で撮影されているそうだ。ならばよほど特別なカメラなのだろうと思ったら、図録の巻末にSIGMA sd Quattro Hの文字。それほど高価なカメラではない。やはり誇大価格か。
広波長域を検索すると、SIGMAのウェブサイトにご本人のインタビューが掲載されていて、広波長域のことも話していた。曰くFOVEONというSIGMAのセンサーだけが、本来あるべき色再現を叶える現状唯一無二のセンサーなのだとか。素人なのでわからないが、本当だろうか。