春日若宮と宇治上神社

春日大社の若宮神社が式年造替されるそうで、工事がはじまる前に内院や本殿を見せてもらえるというので参加。一般に公開されるのははじめてだそうだ。
10時の回をめがけて向かったが、着到殿に着いたのが10時で間に合わず。次の11時まで待つのかと思ったら、10時30分の回があるという。参加者が多く増やしたのだろう。
巫女が受付をしてくれた。春日大社の巫女に接するのははじめてだったが、神宮の巫女よりも清楚で上品な印象。襟が縞模様になっていたので、聞けば8枚襟を重ねているとか。藤の頭飾りは常につけているそうで、これも春日大社ならではだそうだ。

集合時間まで近くを散策。『砂ずりの藤』はあと少し成長するだろうが、いまの状態でも十分に美しい。萬葉植物園の藤も見ごたえがあるそうなので、GWの奈良行きのときに訪れたい。

若宮神社。いつもは閉じている扉が開いているのは感慨深い。瑞垣はずいぶん退色しているが、本殿は屋根があるのでそうでもない。造替とはいえ、丸ごと造り替えるのではなく、傷んだ部分の補修や再塗装に留まるそうだ。それでも周辺整備と合わせて2億円かかるとか。
面白かったのは千木と鰹木。千木は削ぎ方が垂直ではなく少し傾いている。先端が金具なので、加工的や意匠的に垂直ではないのだろうか。祭神は天押雲根命(あめのおしくもねのみこと)なので男神だが、男神女神による区別は、鰹木の数とともに俗説なのだとか。
鰹木は2本。春日造のお社は大きくないので、バランス的に2本がちょうどよい。平安時代には大社8本、中社6本、小社4本という定めがあったが、次第に守られなくなったそうだ。ちなみに神宮正殿は10本、出雲大社本殿は3本、住吉大社本宮は5本とばらばら。鰹木の断面が五角形だったが、鳥居の笠木も五角形なので、春日大社独自の意匠だろうか。

拝舎(はいのや)妻面。プロポーションが美しい。内院へ突き出ている部分は拝所だと思っていたが、神楽殿なのだそうだ。いただいたパンフレットに書いてあった。
春日大社本宮は神宮同様「私幣禁断」だが、若宮神社は1135(長承4)年の創建時から個人の祈願を受けつけていたそうで、日本最古の個人のための常設祈願所なのだそうだ。

JRで宇治まで移動し、とりあえず平等院へ。こちらの藤棚は大きいが、すべて柵の中なので魅力は半減。それよりも観音堂の屋根に目を奪われる。こちらはどうか復元されませんように。

昼過ぎに着いたのにすでに逆光。でも朱色が目立たなくてよい。修理を終えてからはじめての訪問だが、2014年修理を終えた鳳凰堂をニュースで見たときは、あまりの変わりように愕然とした。鳳凰堂は古い仏像のように色褪せたままがよい。あと30年ほどかかるだろうか。

鳳凰は金鍍金ではなく漆箔だそうだが、漆箔のほうが性能が高いのだろうか。瓦はすべて葺き替えられたそうだが、つや消しが施されているので、どことなく不自然に見える。

宇治川を渡り宇治上神社へ。宇治へ来た理由は、こちらの本殿と拝殿を拝見するため。こちらの神社は、1994年登録の世界遺産『古都京都の文化財』 にラインナップされている。

国宝拝殿。さざ波のような屋根が美しい。切妻に1間増築したのか、それとも元からこのような意匠だったのか。妻側から見ると入母屋に見える不思議なかたち。縋(すがる)破風と紹介されているが、これもそう呼ぶのだろうか。それとも中央の向拝のことを指しているのだろうか。

国宝本殿。立札に「神社建築として日本最古遺構」とあるが、どういうことだろう。最古の流造ということだろうか。格子の中をまじまじと覗かなかったのでわからなかったが、本殿は格子の奥に建っているそうで、つまり見えているこの建築は覆屋。祭神は菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)、応神天皇、仁徳天皇で、3つのお社が建屋の中に納まっているそうだ。

宇治上神社を出て『さわらびの道』を進むと、すぐに登山口が現れた。つづら折りの道は緩やかで、15分も歩くと大吉山展望台に到着。正面に鳳凰堂が見える。
彼方が帯状に暗くぼやけているのはなぜだろう。境界の向こうは標高が低くなっているように見える。あのあたりには木津川が流れていると思うが、自然現象の一種なのだろうか。

さらに先の朝日山観音展望台へ行こうとしたが、道を間違えたのか下ってゆき、山を下りてしまった。興聖寺というお寺の脇に出たが、山門から宇治川へ至るアプローチが美しかった。琴坂というそうだ。もみじがたくさん植えられていたので、秋もまた美しいのだろう。
京阪宇治駅へ向けて歩きだすと、すぐ先にある朱塗りの橋のあたりで轟音。宇治川のほうをのぞくと大量の水が放出されていた。マップを見ると、宇治上神社の隣は水力発電所だった。水源は琵琶湖。瀬田川から分岐し、琵琶湖疏水のようにトンネルを掘って引いているようだ。
京阪宇治駅ははじめてだったが、立派なロータリーにでんと構えた駅ビルは生気がなかった。半地下の通路をくぐり抜けると、ルイス・カーンの丸開口を真似たような意匠の駅舎。恥ずかしげもなくよくやると思ったが、ホーム上屋の柱を見てピンときた。若林さんの設計だった。

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