佐川美術館にある『樂吉左衞門館』茶室の見学会に参加した。地下の展示室には何度か訪れているが、地上の茶室は茶会の参加者しか入れないので、まだ見ぬ場所だった。
展示室への階段を下りて進むと、いつもある柵が取り除かれていて、茶室『守破離』への入口が開いている。暗い路地をしばらく進み、突き当りを折れると寄付。弧に沿い数段上がると一転明るい空間に出る。『水路地』と呼ぶシリンダーは外へつながっていて、見上げると青い空と雲。それが浅く張った水面に映っている。巨大な踏み石を進むと入口が絞られ、いよいよ茶室へと誘われる。地上への階段に天井から光が射して美しいが、このために設けたトップライトが、屋根の景色に汚点をつけてしまったように思う。唯一残念に思った部分。
10段ほど上がると小間『盤陀庵』コンクリートの壁に和紙が吹き付けられていて、スリットからの光が条痕となって映っている。そして、ついに地上へ上がると広間『俯仰軒』ガラスに囲われ、天井は外までつながる煤竹。そして床。茶室なので畳敷だが、周りはジンバブエ産の黒々とした巨石。廊のような機能だろうか。石といっても、表面は平滑ではなく荒々しく割られたまま。それが畳と見切なく面一に納まり、外の水面へどうレベルでつながっている。
すごいものを観た。展示室同様に贅が尽くされ、十五代樂吉左衞門の情念が込められていた。