このGWはおかしな天気。今日も朝から曇天で、桜井駅でポツポツ降りだし、聖林寺へ着くころには本ぶりに。次の當麻寺は伽藍が楽しみなのに、さてどうなることやら。
聖林寺はまちのお寺さんのような雰囲気。受付ではおばあさんと小さな子供が戯れ、本堂にはご家族と思しき方の仏壇。とても白洲正子さんが愛した十一面観音像が安置されているとは思えない。でも案内に沿って縁側へ出れば、そこはまるで別世界。階段廊下がずっと続き、遠く木々の隙間にお堂が窺える。極楽浄土へ誘われるようだ。逸る気持ちを抑えて歩を進め、最上段にたどり着いて振り向けば、入口の向こうガラスの奥に観音様。ぞくぞくするよなアプローチ。
お堂にほかの参拝者はおらず、観音様を独りじめ。微かに聞こえる雨音のなか、極上の時間を堪能した。2mを超えるお身体は均整がとれ、量感ある上半身のおかげでプロポーションが美しい。顔は豊満で柔和に微笑み。先日購入した単眼鏡のおかげで頭上のお顔の表情もすぐそこに。
聖林寺をあとにして、駅前でゆっくりごはんを食べていると、雨があがって青空が見えてきた。観音様が叶えてくださったのだろうか。心の中で手を合わせ、予定通り當麻寺へ。
當麻寺の境内は素敵だった。法隆寺のように広い敷地に金堂や講堂や塔が点在し、いくつかの別院や中之坊を併設。このお寺のご本尊は仏像ではなく曼荼羅で、そのオリジナルは中将姫が一夜で織りあげたという伝説がある。この曼荼羅を収める厨子と須弥壇がすばらしく、国宝なのがうなずける。東西ふたつある三重塔も国宝で、奥の院から眺めると絶妙の配置。中之坊の庭木越しに見える東塔は風情があり、秋はきっとすばらしいだろう。
東塔の斗供。力を受けて渡して受けて渡して……