ライヴ:ひとりメセニー・グループ

ひとりメセニー・グループを見にサンケイブリーゼホールへ。
ライブではじめて最前列の席へ座ると、ステージにはいくつかの楽器。上手下手にマリンバとギターボットがひと組ずつ座り、正面奥にはシンバルがひとつ。あれ?ライブではこれだけ?と思っていたら、パットがアコギを携え登場。ギターソロからスタートした。
2曲目で聞き覚えのあるイントロ。『This Is Not America』だった。パットのライブははじめてで、これまでもこの曲が演奏されていたのか知らない。サウンドトラックだし、デビッド・ボウイとの共作。でもこうしてソロで演奏するということは、パットもこの曲が気に入っているのだろうか。そう思ったらグッと来た。5つのネックに42本の弦を持つピカソギターも登場し、また思いがけず感動。ギターを交換し、何やら足元をまさぐる。いよいよかと思ったら、下手マリンバの手前にちょこんと鎮座しているシンバルの小さいの(ゼンマイ仕掛けのブリキのサルが叩くようなもの)がリズムを刻みはじめ、それに合わせてパットが即興。あとでこの子を紹介する場面が可笑しかったが、案外この中ではいちばんのお気に入りなのかもしれない。
コンガのトントントントンという音とともに背後の黒幕が落とされ、フルセットが登場。やはりこうでなくては。そこから一気にアルバムの曲を披露。各楽器にはLEDがついていて、音を出すと光るようにできていたが、縦横無人に間髪いれずに明滅するそれらは、クリスマスのイルミネーションのようできれいだった。棚に並んだボトル楽器の底も淡白く光りうっとりした。
ラストパートはオーケストリオンたちとの即興。パットがギターを爪弾くと、他の楽器が同調して演奏する。それは魔法のようで、夢のような不思議な光景だった。最近見た『Re-Clammbon 2』の映像で、mitoさんが爪弾いたフレーズを、その場で録音してループ再生していたが、パットも同じことをやり、これが生ループかとニヤニヤした。
ダブルアンコールにも応えてくれて、終わってみれば2時間30分が経過。照明が灯り、ゆったり余韻に浸りたいと思うのもつかの間。このとんでもないシステムを一目見ようと、後ろの人たちがわんさかやってきた。大撮影会がはじまってしまい、たまらず私もパシャリ。
マリンバやギターボットの音がもう少し大きければと思ったが、最後まで故障なく演奏してくれただけで満足。海外では途中で故障し、中断した公演があったそうだから。