墓参りふたつと美術展ふたつ

京都にある父方の墓参りにかこつけ美術展ふたつ。ご先祖様どうもすみません。
まずは『山口晃―ちこちこ小間ごと―』の二巡目。小説『親鸞』の挿画が入れ替わっていた。

中央下段は後鳥羽院。その上は猫頭巾姿の恵信。どちらも瞳が印象的。

右側の下2枚は、外道院の船から戻った親鸞と恵信。恵信が燃えるように熱い体を親鸞に寄せる場面。恵信の体のほてりをサーモグラフィーで表現。

『親鸞 全挿画集』で、ため息ちゃんはじつは親鸞だと知った。主要人物の顔を描いてはいけないことになり、親鸞がよくため息をつくのでこのようなキャラクターを生んだそうだ。その上は漫画タッチの恵信。文を寄こさない親鸞をののしるという想像図。

お次は京都国立近代美術館で『モダンクラフトクロニクル』展。1963年の開設以来蒐集してきた工芸品3,335点のうち305点を、7つに章立てして展示。陶磁器、着物、金工、七宝、ファイバー、宝飾などあらゆる種類の工芸品が一堂に会し、見ごたえのある展示となっていた。
3階のみ撮影不可とのことだったが、踊場の一部のような小さなフロアが2階だとは思わず、2階だと思った3階で撮影しようとして注意を受けた。はじめにきちんと説明してくれればいいのに。また、動線も何やらわかりづらく、話したくないのに監視員へ尋ねてしまった。
図録の代わりとなる『京都国立近代美術館所蔵品目録 XIII[工芸]』は、全作品が掲載されていて圧巻だが、写真がすべて同じサイズで小さいので、購入意欲は湧かなかった。

まず出迎えてくれたのはアバカノヴィッチの『黒い上衣 V』。懐かしい作家。むかしむかし、大学の友人の部屋で手にした新聞に、滋賀県立近代美術館で開催中の回顧展の広告が掲載されていた。1段の小さな広告だったと思うが、人型の作品が放つエネルギーに友人共々捕らわれてしまい、居ても立っても居られなくて彼の車で向かったのだった。

こちらも久しぶりのハンス・コパーとルーシー・リー。過去の展覧会のポスターがいくつか展示してあったが、この作品は1970年の展覧会に出品されていたようだ。
1970年とはずいぶんむかし。現在の槇さん設計の建物は1986年竣工なので、建て替える前の建物で展覧会が行われたということ。久しぶりにこの美術館を訪れたが、あらためてディテールが盛りだくさんでニヤニヤしてしまう。階段室だけでもずっと見ていられる。

マイケル・グレイブスの『ティー&コーヒー・ピアッツァ』はキラキラポストモダン。学生のころ傾倒した。福岡へ赴任したとき、できたてのハイアットリージェンシーをよく訪れた。
時間切れとなり退館。速足での鑑賞となってしまった。最後の予定は母方の墓参り。大阪を飛び越え泉州へ。乗り換えが面倒だし座りたかったので、新大阪駅で特急くろしおに乗り換え直行。大阪環状線に乗ると、たまに特急の通過待ちに遭遇するが、このときは優越至極だった。