映画『メッセージ』を鑑賞。監督ドゥニ・ヴィルヌーヴがブレードランナーの続編を手掛けると知り、監督のSF作品を観ておきたかった。
冒頭から引き込まれた。フレーズを繰り返す感情的な弦楽合奏曲がはじまり、薄暗がりのなか湖畔の見えるリビングが映し出される。主人公の娘が誕生し、成長し、亡くなった娘の亡骸のそばで、泣き崩れるところで曲が終わる。主人公のセリフとともに、物語の核心に触れている。異星人とコンタクトをとるうちに能力が備わり、未来が見えるようになったことがわかる。
音楽も含めこれまでにないSF。異星人や宇宙船の姿かたちはもちろん、原作でも重要な部分である異星人とのコミュニケーションは秀逸。異星人の手から吹き出る墨のような物質が、はじめは霧のように漂い、しだいに円状になり文字を形成する。その一連の動作が詩的で美しい。
音楽はヨハン・ヨハンソン。ヴォイスや打楽器、ループなどを用いた楽曲はどれも知的で思慮深い。サントラを購入したが、冒頭の弦楽合奏曲が収録されていなかった。マックス・リヒターの曲だそうだが、権利のせいだろうか。作品と繋がる核のような楽曲なので、収録されているアルバムも購入し、プレイリストを作って聴いている。