POSSESSION

イザベル・アジャーニ。可憐で美しかったころの彼女を見ようと夜のナナゲイへ。この切望する眼差しの理由も知りたかった。劇場公開から40年経ち、HDリマスター版でのリバイバル上映。
彼女のことは『可愛いだけじゃだめかしら』で知り、ほかの作品も借りて観たが、この作品のことは覚えていない。予告編を見ても思い出さないのでおそらく観ていないのだろう。だからとても楽しみにしていたのだが……
離婚における夫婦の心理戦にはじまり、エイリアンさながらのホラーを交え、スパイアクションで幕を閉じる。北斎の『蛸と海女』を思い起こすような、触手の生えた化け物との濡れ場もあり、愛と狂気と不条理の物語といったところか。
時々挿されるベルリンの壁と哨兵のシーンがわからなかったが、パンフレットによれば、監督が実際に経験した不条理を表現したのだそうだ。ついでに妻が不倫したことも実体験とのこと。
この作品の前にパラサイト―半地下の家族―を観たのだが、コメディと聞いていたらそんなことはなく、身に詰まされるシーンもあったので、一日に2本もこのような作品を観てしまい、気分がすっかり萎えてしまった。