SPECTRE

上映時間が2時間半もあったとのちに知った『007スペクター』冗長さに疲弊してしまい、めずらしくエンドロールを観ずに退場。
前作『スカイフォール』もいまひとつだったが、直球のタイトルだし、ダニエル・クレイグがこれで最後かもしれないということで期待した。でも冒頭で早くもがっかりした。予告を観て印象的だった祭りのシーンだが、大画面TCXの迫力だけでとくに意味はなかった。
冒頭シーンが印象的な作品は『慰めの報酬』。思わず身を乗り出した。崖あいの洞穴トンネルで繰り広げられるカーチェイス。アストンマーチンDBSとアルファロメオ159のエキゾーストノートがこだましてワクワクした。アストンマーチンといえば、今作では特製のDB10だったが、夜間のカーチェイスだったので、ジャガーC-X75ともに魅力は半減。DB10もあまり美しくない。
スペクターについても、もっと組織のことが語られるのかと思ったらそんなことはなく、荘厳な雰囲気に仕立てた会議のシーンも、砂漠の真ん中に造られた世界中の情報を収集するという粗末な意匠の施設にもげんなり。プロフェルドも想像と違った。
今作ではボンドガールが2人登場ということだったが、モニカ・ベルッチは早々にフェードアウト。レア・セドゥはM:Iではじめて観たときは魅力的だと思ったのだが、今作ではそれが感じられなかった。悪役のほうが向いているのだろうか。最近のボンドガールでNo.1といえばエヴァ・グリーン。こわくな瞳がたまらない。
一番観ていられなかったのはダニエル・クレイグのスーツ姿。『カジノ・ロワイヤル』ではパッツンパッツンだったが、今作ではチンチクリンになった。ジャンプするたび袖を伸ばしていたので、ぜったいに本人も気にしていたはず。それにしてもこの短小トレンドはいい加減やめてほしい。メタボなおじさんは着るものがなくて困っている。