Young-Jae Lee

朝からそわそわして落ち着かなかった。今日は一大決心の日。目覚ましより早く起きてしまい、朝っぱらから排水管の掃除をしてやり過ごした。李英才さんの器を手に入れよう。そう決心したのはひと月前。小心者には李さんの器は高嶺の花。相当な覚悟が必要だった。
オープン直後にお店へ入ると、ほかに客はいなかった。1階と2階を何度も行来きし、李さんの器を堪能した。シンプルなかたち、釉薬のバリエーション、ピッチャーやコーヒーカップの優美な曲線。ため息がこぼれっぱなしだった。お茶をよばれ、李さんについてお話を伺った。
しばらくすると、小柄な女性が入ってきた。大橋歩さんだった。たっぷりした黒のパンツを履いた大橋さんは、想像よりずっと小柄でおとなしい方だった。
ひとしきり時間を過ごし、いよいよ購入。ご飯を盛るための蓋付茶碗と、秋刀魚が丸々乗る長い平皿、オールマイティに使えそうな丼を手に入れた。