大阪市残る

昨日の住民投票の結果は反対多数だった。政治については書かないが、今回は特別に。
前回は制度を知ろうとせずに、政治政党が好ましくないというだけで反対してしまったが、今回はパンフレットを読み、住民説明会の動画を観て、賛否両論を読んだ。でもそもそも政治に詳しくないので、是非をはっきり見定められなかった。それなら無投票にすればよかったが、そういうわけにはいかない。だから反対と書いた。感情的に『大阪市』がなくなることに賛同できなかったし、なぜ廃止しなければならないのかがどうしても理解できなかった。
二重行政の廃止と住民サービスを拡充するためだと言うが、市長自ら「現在では二重行政はない」と言っている。バーチャル都構想のおかげということだろうが、それなら現在のままでよいのではないだろうか。支持が高いのだから政治政党の座は揺るがないだろう。引き続き二人で大阪をよくしてくれればよい。特別区になれば長が5人になるので、政治政党が異なれば衝突する機会は増えるのではないだろうか。大阪府と特別区で行政区分をすると言っても、特別区も各々独立した自治体になるので、仲よく手を取り合えるとは限らないのではないだろうか。
このままでは大阪が成長しないと言うが、どうすれば成長できると考えているのだろう。万博や統合型リゾートで大阪が成長するのだろうか。バーチャル都構想のおかげだと言う、淀川左岸線延伸やなにわ筋線が大阪の経済を豊かにしてくれるのだろうか。高齢化はますます進み、人口は減少の一途をたどっているのに、景気を起爆するには派手な箱物行政しかないと信じているのではないだろうか。WTCとりんくうゲートビルを悪だと言うが、二重行政を解消しても役所のすることは同じなのではないだろうか。社会情勢は変わろうとしていて、おそらくこれからは縮小均衡しなければならないはずなのに、いつまでも成長という言葉に囚われている。
10年間で1兆円の経済効果があると言うが、役所がいくら社会へ投資しても、民間が強くなければ発展はない。コロナがいつ収束するかわからない状況で、この数字はそのまま鵜呑みにはできないだろう。二重行政による経費節減も、前回の時には4,000億円と言っていたが、結局1億円程度しか効果がないそうで、どのような計算をしているのだろうと訝しくなる。
住民サービス拡充については、長が1人より4人いるほうが目配りは利くだろう。でもサービスを提供する原資がなければ何人いても仕方がない。ひとつだった自治体が4つになれば、分担されても役所運営の基礎となる部分は4特別区で同じく必要で、単純に4倍の経費がかかるのではないだろうか。発言を撤回させられ捏造とまで言わされてしまったが、先の毎日新聞の記事はあながち間違いではなかったのだろう。政令指定都市が解除されれば交付金は大阪府へ渡るが、大阪府の財政が厳しくなった場合は、特別区は十分な給付を受けられるのだろうか。
市職員の9割が特別区へ移り、1,700人は府へ移るそうだが、万博の準備もしなければならないので、とても大変なことになるだろう。4年の準備期間で間に合うのだろうか。賛成票獲得のために残すことにした区役所は、施行したあとも窓口がゴタゴタするに違いなく、住民サービスは滞るのではないだろうか。区役所名を現在のまま残すそうだが、特別区名でなくなる20の地域自治区においては、暮らしの中で混乱が生じるのではないだろうか。