駒形克己さん

舟越桂さんが亡くなった同じ日に、大好きな方がもうひとり亡くなっていた。駒形克己さん。70歳。インスタグラムに病室でのお姿が投稿されていたので、白血病を再発されたのだろうかと心配していたが、昨日突然訃報を受けた。『GALLERY KOMAGATA』のSNSでは4月1日に公表されていたが、閲覧が疎かになっていたので知るのが遅くなった。
改めてSNSを閲覧すると、出版社や書店、図書館、そして大勢の人からのお悔みが投稿されていたが、その中に大阪で開催中の展覧会『駒形克己展 POP SCOPE』を見つけた。

会場は江坂の『RINEN』。洋服屋さん併設のギャラリーのようだが、地図アプリを見てハッとした。クレヨンハウス大阪店の隣だった。現在のクレヨンハウスのロゴは駒形さんのデザイン。私もはじめて駒形さんのしかけ絵本を購入した店はクレヨンハウスだった。
展覧会はクレヨンハウスの主催だった。3月23日から31日までの会期だったが、駒形さんが亡くなってしまったので、洋服屋さんの計らいにより1週間延長されたそうだ。

床まで白いホワイトキューブに、彩り豊かな駒形さんの作品が映えていた。壁には直筆サイン入りの『POP SCOPE』シリーズと『PIECES』シリーズ、そして『PIECES』をタペストリーにしたものが掛けられ、テーブルには著書やグッズが並んでいた。右上に見切れているモビールが欲しかったが、うちの2.5mの天井では様にならないので我慢した。

先代の社長さんと少し話しをさせていただいた。このスペースは普段メンズの売場だそうで、イベントがあるたび商品や什器を中2階へ移動させるそうだ。大変だが、普段と異なるお客さんが来られるので、その方たちと話しができてよいのだとおっしゃっていた。
テーブルが素敵だったのでたずねると、シェーカージャパン製だそうだ。シェーカー家具がお好きだそうで、ほかにも置いてあった。シェーカージャパンは店を閉じてしまったが、ウェブサイトは残っているとおっしゃったので訪問すると、お気に入りのウェブサイトだった。

画像でしか見たことのなかった『POP SCOPE』シリーズ。実物はどれも素敵だった。紙の重なりや立体感が見る位置によって変化するのが面白かった。たとえばマンドリルの特徴である鼻の赤い部分と青い部分。作品では青い部分は紫を用いているのだが、赤と紫の紙が顔のベースであるグレーの紙の下に見え隠れする。その様がセクシーでゾクゾクした。
全44種のうち23種が展示されていた。社長がおっしゃっていたが、トラが一番人気だそうだ。税込44,000円(トラ、シマウマは49,500円)は目玉が飛び出るほどではないが、うちには美しく飾る部屋がないので見送り。注文すれば制作してくれるそうなので急ぐことはない。

土産の『とっくん』。『ごぶごぶ ごぼごぼ』以来の『こどものとも0.1.2.』だそうで、2月に出版されたばかりのようだ。『ごぶごぶ ごぼごぼ』は胎児がお母さんの胎内で聞いていた水の音をイメージしたそうだが、『とっくん』は胎内で聞いていたお母さんの心臓の音や、生まれてからも抱かれるときに聞いたさまざまな心臓の音をイメージしたそうだ。

店の前の江坂公園。満開の桜と陽気のおかげで大勢の人が集まっていた。

帰りにジュンク堂大阪本店へ寄ったが、そういえばと永楽町スエヒロ本店の前を通った。
解体ははじまっていたが、仮囲いが国道2号側にしか設置されておらず、建具が撤去されたメインエントランスからは屋内の解体作業が丸見え。安全上問題ないのだろうか。

こちらは大阪丸ビルの解体。フジタ施工。親会社である大和ハウス工業が施工しないのは、このビルを設計施工したフジタ(旧フジタ工業)に敬意を表してのことだろうか。