それでもシネコン

五十嵐威暢さんデザインのロゴネオン。渋谷店はPだったがこちらはO。文字の選択に法則があるのだろうか。それとも、じつは5文字すべてが館内に点在しているのだろうか。
映画『JUNK HEAD』を鑑賞した。場所は心斎橋パルコにあるイオンシネマシアタス心斎橋。3月16日にオープンしたばかりだそうだが、じつに不思議なシネコンだった。
部屋は7つあるのだが、一番大きな部屋で80席しかない。平均すれば一室50席程度しかなく、テアトル梅田のシアター2より小さい。『JUNK HEAD』を上映する位なので、マイナー作品専門のシネコンでよいのではと思うが、『騙し絵の牙』を上映する位なのでそのつもりはないのだろう。でも果たしてこの劇場でメジャー作品や大作を観ようと思うだろうか。
心斎橋パルコは、新築ではなくそごう心斎橋店だったビルに入居している。劇場は12階だが、そごうだった時は普通の売場だったので、柱がたくさん並んでいる。部屋を大きくすれば柱が出てきてしまうので、小さく区切らざるを得なかったのだろう。普通の売場なので階が低く、床の傾斜を設けることができない。入った部屋は段が1段しかついていなかった。
最後列に特料席が並んでいたが、一番観やすいからではなく、テーブルを回転させなければならないからだろう。この劇場なら最後列でも観やすさは劣らない。最前列も特別席のようだが、追加料金がいらないのは、寝そべらないと画角に入らないからだろう。
共用部のインテリアは手が込んでいたが、ロビーは照明が昼光色なのか、白い仕上が寒々しかった。大理石と思っていた床はカーペットだったが、白いカーペットなど狂気の沙汰。部屋のインテリアは黒で、特料席の背面のみアラベスク模様。天井はグラスウール現しで、ガラスクロスの押さえピンに興覚め。天井が低いのでLEDのダウンライトがまぶしかった。唯一感心したのは、一般席も座席の間に仕切板がついていて、肘掛が両側についていたところ。席がひとつ飛ばしになっていたのもよかった。お達しの有無など関係なく、離隔を取るのは当然だと思う。
映画のことを書いていなかった。人形によるストップモーション・アニメで、舞台や世界感、人形や美術の造形が好みだった。作者の本業が内装業というところが気に入ったし、たった一人で7年もかけて制作したというところに共感を覚えた。