プロパガンダ

建築物省エネ法についてメーカーのオンライン講習を受けている。はじめて講習を受けたのは昨年末で、今年4月に施行された改正法についての解説だった。二度目は省エネに対する国策動向についての解説。先日三度目の講習が行われたが、二度目に受けた内容のアップデートだった。『脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方』が8/23にとりまとめられたので、それを受けての開催だったのだろう。
とりまとめられたロードマップでは、2025年すべての建築物で省エネ基準適合義務化、2030年新築される住宅・建築物はZEH・ZEB水準の省エネ性能を確保、及び新築戸建て住宅の60%に太陽光発電の導入を目指すとなっている。前二つは反対しないが、三つ目は反対したい。
ソーラーパネルを載せた家は美しくない。住人は省エネを考えているようで売電を面白がっている。売電価格は下がる一方なので、このままでは20年で元が取れないかもしれない。20年で売電契約が満了することさえ知らない人もいる。家庭用の太陽光発電とはその程度。
事業用の太陽光発電も似たようなもの。住宅同様に美しくない。こちらは規模が大きいのでなおさら。山裾に広がる大量のソーラーパネルをこの目で見たことがあるが、暴力的で異様な光景に恐怖を感じた。このままでは日本の風景は取り返しのつかないことになる。
他のエネルギーに比べ誰でも容易く参入できるので、省エネのことなど考えていない、一攫千金のことしか頭にない行儀の悪い輩が多いのではないか。彼らは山のことを知らずに樹を切り土を盛る。いい加減な業者がいい加減な設置をするのですぐに壊れる。
事業用太陽光発電の売電制度は来年4月にFIPへ変わるそうだが、補助金を国民が負担する仕組みに変わりはない。太陽光発電はFITのおかがでここまで成長したのだろうが、賦課金なくして成り立たないエネルギーなど不純。立ち行かなくなるだろう。
杉山大志著『「脱炭素」は嘘だらけ』は、カーボンニュートラルを検索していて見つけた。書名が清々しいので読んでみたが、胸がすくほど気持のよい本だった。
CO2ゼロは亡国の歌。「2050年CO2ゼロ」は極端すぎて、科学的にも、技術的にも、経済的にも、人道的にも間違っている。温暖化は「物語」にされてしまっている。「物語」は政府へ予算を与え、多くの御用機関や御用学者へ分配し、利権関係を構築する。「物語」を共有する団体へ補助金を配布し、団結力を高め、結束力を保つ。
中国は脅威。昨年9月国連で2060年CO2ゼロを発表したのは、世界から好感を得るためで、米国内や欧米を分断するため。2060年にしたのは時間を稼ぐため。2050年には無理でもあと10年あればできるかもしれない。できなくても他ができていないので避難されることはない。
中国の資本や企業は海外のエネルギー事業に大きく関わっている。日本では太陽光発電など再エネ止まりだが、イギリスでは原発の一部を国営企業が所有している。送電に関わるインバーターなど多くの電子部品は中国製なので、中国がサイバー攻撃を起こせば一巻の終わり。2017年に施行された国家情報法を発動すれば、「いかなる組織も公民も、国の情報活動に協力しなければならない」ので、テロリストでなくても実行させられてしまう。
中国がTPP加入を申請したとニュースになっている。財務相や学者は加入できないだろうと言っているが、狙いは加入ではないのではないか。CO2ゼロの発表と同じように、発言することで世界から好感を得る。太平洋には中国を支持する島国がいくつもある。
経産省の御用機構が試算したCO2ゼロにかかるコストは、54兆円~90兆円と国家予算に迫るほど。実行されれば日本は弱体化するだろう。地方自治体は、具体的な計画がないのに補助金目当てにCO2ゼロを宣言。環境省や環境大臣は、それをマップに仕立て一人悦に入っている。
敬愛する森林ジャーナリストが、数日前発電コストについて投稿していた。経産省の御用機関が2030年の発電コストを電源別に予測。再エネでメジャーな太陽光、風力、バイオマスを見ると、木質専焼のバイオマス発電のコスト削減はゼロ。燃料の木質バイオマスは年々集めるのが難しくなるそうで、技術革新やスケールメリットもほとんどないそうだ。
気候非常事態はフェイクニュースだとして、様々な噂を正している。気候シュミレーションや環境影響評価モデルは問題だらけ。将来を現状のまま計算するが、技術は発達するし経済も成長する。過去のデータや統計を見ず、都合のいいようにパラメーターをいじったりする。
気候危機はリベラルのプロパガンダとして、NHKのフェイクニュースを取り上げ正している。ソーシャルメディアは検閲を強化し、温暖化に懐疑的、否定的な投稿やアカウントを削除し、偽情報のタグをつけて検索にかからないようにする。温暖化は法、経済、物理、科学、社会など広範囲に及ぶ問題なので、様々な考えや意見を述べて何がいけないのだろう。
46%がおぼろげに浮かんだなどと与太話はいいので、2030年温室効果ガス排出46%削減、2050年温室効果ガス排出実質ゼロを性急に実行しようとせず、19年、39年かけて技術を発達させ、こなれたコストまで落とす。その上でイノベーションを起こしても間に合うだろう。