Arte Popular

みんぱくで『ラテンアメリカの民衆芸術』を観賞。閉幕ぎりぎりに滑り込むことができた。
ラテンアメリカでは民衆による手工芸品のことを、ラテンアメリカ諸国の主要言語であるスペイン語で「Arte Popular(アルテ ポプラル)」と呼ぶそうだ。
民衆芸術に焦点をあてれば、ラテンアメリカの多種多様な文化を伝えられるのではないか、という思いのもと、収蔵庫から約400点が選ばれたそうだ。
会場は「民衆芸術と出会う」、「ラテンアメリカ形成の過程」、「民衆芸術の成熟:芸術振興の過程」、「民衆芸術の拡大:記憶と抵抗の過程」、「ラテンアメリカの多様性」の5章立て。

葉はマトラカという楽器。元々祭事に使用されたそうで。振り回すとガラガラ鳴るようだ。

車のおもちゃ。陶製だろうか。共通だが、キャプションに材料を記入してほしかった。

メキシコウイチョル族の男性用衣装と肩かけ袋。小さいほうは装飾品だろうか。

仮面。ブラジルの先住民族のもので、6つすべてが異なる民族というのが面白い。

メキシコの死者の日の祭壇。ご先祖様が帰ってくる日の設え。日本のお盆飾りに同じ。
メキシコ人にとり骸骨は身近な存在。再生とユーモアの象徴だそうだ。『007スペクター』の冒頭を思い出すが、あのお祭りは映画のための演出で、実際には行われていないそうだ。

首長人形。ラマやアルパカのイメージで作ったので首が長いのだとか。陶製だろうか。

生命の木。起源はスペイン植民地時代のメキシコで、聖典の教えを原住民へ伝えるためにつくられたそうだ。最上部はキリストだろうか。その下にはアダムとイヴ。とても美しい作品。

どこをとっても精緻。アップを何枚も撮影した。骸骨、小鳥、音楽を奏でる天使。

ヤギのナワル。本展のキービジュアル。コイツにやられた。シシ神様のようなポーズ。
空想的な動物の姿を描くメキシコの民衆芸術で、オアハカ州で制作されているものだそうだ。

こちらはただのナワル。メキシコの民間信仰で、動物に変身する能力をもつ妖術師やシャーマン、人を守る動物霊のことをナワルと言うそうだ。奥の小さいのは悪魔像だそうだ。

ハイチの市場絵のアップ。顔を描かないことでより一層プリミティブ。

階段踊場より会場を俯瞰。吹抜壁につく吹出口が猪目模様。黒川さんの好きな模様。
会場出口の特設ショップで図録が見つからなかったので、施設のミュージアムショップのほうに置いてあるのかと馬鹿な質問をしてハッとした。完売したのだ。ベンチにあった見本を手にした時、サイズや装幀にこれは売れるだろうと思ったが、その通りになっていた。

ミュージアムショップでいただいたブックカバー。デザイン 田主誠とある。描かれているのは槐(えんじゅ)の花で、梅棹忠夫著作集のシンボルマークのために制作されたそうだ。
著作集の表紙には仮面のイラストが描かれているようだが、これも田主さんの仕事のようだ。田主さんは独学で版画を学んだ後、みんぱくの職員となり、収蔵品の仮面に関心を持ち、ライフワークとして仮面を描かれたそうだ。ちなみに当時の館長は梅棹さん。
ブックカバーをいただくために購入した本は梅棹忠夫著『女と文明』。どなたのデザインなのだろう、カバーに惹かれて手に取ったが、まえがきを読むと何やら面白そうだった。