From This Place

パット・メセニーの新作は6年ぶり。新たな傑作が誕生したと思う。
じつはパット・メセニーはしばらく聴いていなかった。前作『KIN (←→)』もその前の『Unity Band』も聴き込んでいない。好みの曲はあるがアルバムを通して聴こうという気になれず。クリス・ポッターらが参加した新しいバンドだったが、彼らがつくる楽曲はしっくりこなかった。
このアルバムもアントニオ・サンチェス以外は新メンバーだが、何度も繰り返し聴いている。従来のパット・メセニーを彷彿とさせるサウンドだからだろうか。
このアルバムはどこか『The Way Up』に似ている。はじめて聴いたとき、これはパット・メセニー・グループのアルバムなのかと思った。ピアノはライル・メイズ、ベースはスティーブ・ロドビーが演奏しているのかと思った。でもライル・メイズはもういない。もしかすると、このアルバムはパット・メセニーが盟友ライル・メイズに捧げたレクイエムなのだろうか。
表題曲はめずらしくフルヴォーカル。ゲストヴォーカルはミシェル・ンデゲオチェロ。彼女しかいないとラブコールしたとか。「世の中は様々な問題を抱えていて、希望も安らぎもないが、それでも前を向いて進むしかない」すべてのものを包み込むように優しく歌う。