和田誠展

画像:和田誠展

まさかの朗報。とてもうれしい。主催や協賛などのクレジットを見るに、一大回顧展となるだろうか。ぜひそうあってほしい。2023年まで巡回するそうなので、きっと関西にも来てくれることだろう。ページデザインは和田さんの人柄を表しているようで清々しい。

田中一村展

佐川美術館で観た展示には及ばなかったが、はじめて観る作品があり、それがとてもよかった。奄美大島商工会議所が購入し、はじめて公開されたという『岩上の磯鵯』。縦長の画面のほぼすべてを黒い岩崖が埋め、頂に磯鵯が止まっている。ほかには、一村さんが使っていた画材や、オリンパスの二眼レフなども展示されていた。
美術館の入口に掲示していたが、奄美大島が徳之島、沖縄島北部、西表島とともに世界遺産に認定されるそうだ。田中一村記念美術館や終焉の家などゆかりの場所を訪ねてみたいと思っているが、認定されれば騒がしくなるだろうか。その掲示の隣には、むかしニュースキャスターをしていた宮崎緑さんのパネル。?と思ったら田中一村記念美術館の館長だそうだ。
映画『アダン』が観たいと思い調べていると、女優の木村文乃さんが引っかかるのでなぜだろうと思ったら、この映画に出演していた。アダンの化身の役だったそうだが、さっぱり忘れてしまっている。もう一度観たい。どこかのレンタルビデオ店に置いていないだろうか。

呑気症

松家仁之著『泡』。3年ぶりの新作は青春小説。帯には最初にして最後とある。はじめての出版社の連載で、これまで書かなかったものを書くことにしたそうだ。
学校へ行けなくなってしまった東京の男子高校生が、遠くでジャズ喫茶を営む大叔父のもとへ身を寄せ、ひと夏を過ごす物語。面倒をみるのは、店にふらり流れ着き、そのまま居つくようになった青年。経歴は語られないが、壮絶な過去を持つのかもしれない。大叔父の過去は戦争。敗戦後シベリアに抑留されたときの記憶が語られる。
松家さんの小説は、登場人物が内に秘めたり激したりしていても、表面は静かに流れている。本作では3人とも心に棘が刺さっているが、物語は軽くひるがえるように進む。そこが好き。
大叔父が住む町はフィクションだが、町や列車の名前からして和歌山県の白浜町だろう。関西に住む者としてはなんだかうれしいが、そういえば一度も訪れたことがない。
松家さんの作品はカバーが楽しみ。『火山のふもとで』は牡丹靖佳さんの画、『沈むフランシス』は犬の写真、『優雅なのかどうか、わからない』はミア・ファローの写真、『光の犬』はコーネリア・フォスの画。どれも簡素だが、味わいがあり印象深い。今度のカバーは簡素の極み。デザイナーは文字サイズと配置の組み合わせを、何十通りも印刷し確認したのだろうか。

iCloud

先日iOSを14.5にしたが、バックアップをとっていなかったので、iTunesを起動したところ、「連絡先とカレンダーの同期のサポートは非推奨になりました。将来のバージョンのiTunesから削除されます」とのメッセージ。先日Microsoft Storeで複数のアプリケーションをアップデートしたが、その中にiTunesも含まれていたのだ。参ったな。
というのは、iPhoneのバックアップや同期にはiTunesを使っているから。iCloudが登場したのはiPhone4Sのときだったが、試してみたところ同期できなかった。その後PC版iCloudを知った。リマインダーをよく使うが、iPhoneは入力が面倒。でもPCだと苦にならないので、PCで入力してから同期して使うようになったが、そのうちうまく同期しなくなったので使うのをやめた。そのようなわけでiCloudは信用できず、ずっとiTunesを使っている。
連絡先も、iPhoneでは入力が面倒なので、Outlookで入力してからiPhoneへ同期するようにしている。だから冒頭のメッセージに引っかかった。言葉が足りないので理解できないが、iTunesを介しての同期はできなくなるということか。ネットを検索してみたが、ネタが新しいのかヒットせず、唯一見つけたAppleコミュニティのページでは実のない回答。
iTunesを元に戻そうと、旧バージョンをダウンロードしたがインストールできない。「インストーラはこのコンピュータに入っているipodソフトウェアを直接アップデートできません。iPodソフトウェアをアンインストールして再度実行してください」とのメッセージ。iPodソフトウェアとはiTunesのことか。そうなら関連データはすべて削除して臨んだのに。
仕方がないので、iCloudを使おうとPC版iCloudをインストールしたが、GUIがむかしと違っていてアイコンの一覧表示ではなくなっている。そんなことよりリマインダーが見当たらない。それよりiCloud Driveとは何だ。iCloudと何が違うのだ。紛らわしいことをしないでほしい。
iPhoneも設定をしなければと連絡先をONに。iCloudに結合するかと尋ねてきたが、わけがわからずOKを押下。Outlookを起動して驚いた。iCloudにむかしの連絡先が残っていたようで、Outlookと混ざってしまった。即時同期されたので、iPhoneの『連絡先+』も同様に。
冒頭のメッセージを再読したが、将来とあるので当座は大丈夫なのだろう。だから元へ戻した。iCloudを削除(Off)し、連絡先をこの際整理し直し、iTunesを介してバックアップ。

さざ波のような

文・安西カオリ、絵・安西水丸『さざ波の記憶』。水丸さんの娘さんの随筆集。雑誌に掲載された9編と書き下ろし12編。合い間に水丸さんのブルースケッチが彩りを添えている。
水丸さんが大好きだった珈琲やカレーのこと、民藝や灯台のことなどが書かれていて、知らなかったことを教えてくれる。ご自身のことを書いた随筆では、ロシアの話や北海道へ船で渡った話、マカオのカジノの話に意外性を感じ、人となりを垣間見ることができる。
造本が素敵。水丸さんへの愛を感じる。グレーのボール紙でできた函のインクはメタリックブルーで、本体の水色と黄色は水丸さんのイラストの色合いを想起させる。ところで、発行者の新潮社図書編集室は初耳だったが、どうやら新潮社の自費出版部門のようだ。ということは、カオリさんは自腹でこれをつくったということか。本にしたかった何かがあったのだろうか。
カオリさんの文章は読みやすい。くだけた表現がなく淡々と書かれている。まさに書名のさざ波のよう。無風でも強風でもない、弱い風が吹いてできる波のような。